
ここ数年、ロンドンの交通に混乱が生じているようだ。「混乱」という言葉より、「混迷」といった方が、より近いだろうか。というのも、あれこれと新制度を導入して、「これどうよ、どう思う?」と、市民に問いかけているように感じるからかもしれない。
その第一に上げられるのが、地下鉄とバスの料金制度だろう。地下鉄1ゾーン(いわゆる初乗り)が、普通にチケットを買うと3ポンド。なんと約600円!! なのに、バスの料金は全ゾーン統一で1.50ポンド。バスなら地下鉄1ゾーンの半額で、ロンドン市内のどこにでも行けることになる。地下鉄を含め割引制度は充実しているが、それも、なんだか複雑な混迷状態で、多くの市民が理解しきっていないようだ。
第二に、混雑税の導入。2003年2月より、ロンドン中心部の指定された区域に入る車には、混雑税と呼ばれる税金の支払いが義務付けられた。
第三に、リバーボートの復活。テムズ河を走るリバーボートは、観光客だけでなく、一般通勤客にも利用しやすいよう、本数やルートが大幅に変更された。
実は、こうした動きのバックにいるのが、2000年5月の選挙で「初のロンドン市長」に就任した、ケン・リビングストン氏。通称レッド・ケンと呼ばれる市長は、リュックを背負って公共交通機関で出勤というスタイルの政治家だとか。ロンドン市長ともなれば、公用車でお迎えというのが普通なんだろうが、これは彼自身が好んでやっていることらしい。そんな彼は大のバス派で、バス復活も選挙公約に上げていた。バスの人気が低迷していた理由の一つ、渋滞によって起きる運行の乱れを、「混雑税導入による渋滞緩和」という手で解決。加えて、「地下鉄よりバスの料金を安く設定」することにより、バス利用客増を目指している。
これらの改革で数々の問題を抱えつつも、市長の人気が低迷しないのは、この市長ならではの粋な計らいにあるのかもしれない。たとえば、混雑税をクリスマスから年末年始にかけて一時的に中断し、市民へのクリスマスプレゼントとしたり、対イラク政策に抗議するデモのために、スコットランド・ヤードの反対を押し切ってロンドン中心部の公道使用を認めたり…。お祭り好きな彼らしい特例措置が、いくつもある。
2012年のオリンピック開催に向けて、混迷を併せ持つ、この世界的にも新しい取り組みをどうやって育てていくのか。これからも注目していきたい。
(更新日:2006年06月26日)
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編集協力:三菱商事
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