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世界の都市だより

都会のオアシスを支える ロンドンのひと

ロンドンは緑が多いねえ、と夏に訪れた人たちは感心する。ハイドパークやリージェンツパークはもちろん有名だが、それ以外にも街のあちこちに小さなスクエアや公園が点在する。快晴の日のランチタイムには、親子連れ、学生や老人だけでなく、スーツを着たサラリーマンまでがタイを緩め、サンドウィッチを片手に芝生にごろり。陽射しの少ないこの国の人々は、貴重な日光を逃すまいと、ここぞとばかりに日光浴を楽しむのだ。

まるでカントリーサイドの野原にまぎれ込んだかのように花が咲き乱れる公園を見つけた。ミュージカルシアターが立ち並び人々が行き交う忙しいソーホーから一筋入った街のど真ん中に、だ。「自分だけの秘密の庭」にしておきたい、こぢんまりとした風情。だが、噂が噂を呼ぶのかどうか、真夏には1日に400人の老若男女が憩いを求めてやってくるというまさしく都会のオアシス。ここフィニックスガーデンは、クリス・レイバーンさん(39)が手を加える3年前までは、雑草の生い茂るホームレスの溜り場だった。

「ガーデナー募集」の小さな貼紙を見て以来、夏も冬もこの庭と共に成長してきたクリスさんは芸術系の大学を卒業した後、慈善団体で働いていた経歴を持つ。「ガーデニングは好きだったけれども趣味程度だった、だから今の知識はこの仕事に就いてから勉強しつつ実践しつつ…」。休日には英国内だけでなく海外へまで足を伸ばし、庭園巡りに余念がない。

実際の庭いじりは当然のこと、低予算でのやりくりなどマネージメントまで、時にボランティアを雇うこともあるが基本的にひとりで今のフィニックスガーデンを造りあげた。大都会ロンドンでは他人とゆったり触れ合う機会がない。だからこそ、人が喜ぶ姿を直に見ることのできる仕事は貴重だ、とクリスさんは語る。「例えば今日なら、子供が蜜蜂を10分間も観察していたのがうれしかったなぁ。そしてさっきカモの番(つが)いが初めてこの庭に降り立ったんですよ」

(更新日:2006年06月26日)

Passion from around the World
ロンドンから、元気になる都会での過ごし方をお伝えします。

編集協力:三菱商事

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