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月面の小さな穴まで映る月周回衛星「かぐや」のハイビジョン画像は、触れられるような生々しさ。画面が切りかわると、輝く青い地球が浮かびあがる…… ああ、本当にキレイ。
午後はJAXAの筑波宇宙センター「きぼう運用管制室見学ツアー」に参加。ガイダンス後に訪れた展示室入り口で映像にうっとりしたあとは、衛星を拝見。
「……ぺらっぺら、ですね」
「宇宙空間だと、ぺらぺらのシートでも大丈夫なんですよ」
ずらり並んだ人工衛星のモデル。そのボディーは、金や銀の薄っぺらな断熱シートで覆われ、しかもそのシートは面ファスナーで止められているので密着度は低く、失礼ながら見た目だけだと子供の夏休みの宿題のようにも見える。
とはいえ、このシートに包まれた衛星たちは今や生活のあらゆる側面に欠かせない存在。温暖化をもたらす大気の状態を探る「いぶき」、ハチの巣のようなアンテナで通信をなめらかにする静止衛星「きく」、大量のデータを中継する「こだま」、そしておなじみの気象衛星「ひまわり」など、改めて聞くとネーミングも秀逸だ。
午前中に学んだ測量の世界にも関係が深いのが、陸地の状態を詳しく調べる地球観測衛星「だいち」とミラーボールのような測地実験衛星「あじさい」。ちなみに「だいち」のデータはお値ごろ価格も手伝い人気が高いそう。1シーン2万円台から購入可能だ。

参加者が盛り上がるのはやはり国際宇宙ステーション(ISS)の模型展示。中にも入れる「きぼう」実験室の実物大モデルは人気の撮影スポットだ。
世界15カ国がタッグを組んで作りあげ、6名の宇宙飛行士が半年交代で滞在中のISS。日本も「きぼう」など重要なパーツを開発しているが、全体像を図解したパネルを見ていると、アメリカやロシアの面積がやっぱり大きいような気がする。そのうち、日本は隅に追いやられたりしないだろうか。
「宇宙は、みんなのものですから」
案内の方は苦笑した。
新たに選ばれた日本人宇宙飛行士候補3人の誇らしげな笑顔の写真を見ながら、展示室の出口に向かう。出がけにもう一度、「かぐや」の映像を眺めた。
考えてみたら、子供のころ思い描いた未来では、すでに人類は月で暮らしているはずだったのだが。

続いて「きぼう」の機能試験などが行われた宇宙ステーション試験棟、さらにこのツアーでは「きぼう」運用管制室をガラス越しに見学できる。
50人が3交代で24時間稼働しているという管制室は案外のんびりした雰囲気だが、ISSにおいてはまだ早朝、忙しくなるのはこれからの時間帯だという。
見学はこれにて終了。併設されたショップに立ち寄ると、人気の宇宙メシがずらり。迷ったあげくバニラ味のスペース・アイスクリームを購入、勇んで開封する。
入っていたのはフリーズドライの白い塊。砕いてそのまま口に入れると、バニラの風味がじんわり広がる……。まずくもないが、おいしくもない。それでも「宇宙」と名がつくだけでありがたいような気がして、粉にむせながら完食した。
売店の建物を出ると、日本のH-2型ロケットがどんと横たわる。
生きているうちになんとか月に行けますように。
ロケットに願をかけ、サイエンスシティをあとにした。

(取材/山田静)

(更新日:2010年05月06日)





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