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Vol.15 ベネチア
クロアチアのザグレブを夜の11時20分に発車した列車は、スロベニアを通過し、イタリアに入った。僕らはようやく、かつて社会主義に染まった国々を抜けた。ロシアの東端、ソヴィエツカヤ・ガバニを列車で出発して以来、トルコを除いたすべてが、かつては社会主義のエリアだった。列車に揺られた距離は1万8000キロを超えていた。ここから先は、スムーズに列車を乗り継いでいく旅が待っているような気がしていたが、世界はそう甘くないことをやがて知ることになる……。
しかしベネチアに降りた僕らの足どりは軽かった。なんたってイタリアなのである。


下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年生まれ。「12万円で世界を歩く」(朝日新聞社)でデビュー。おもにアジア、沖縄をフィールドに著書多数。近著に「『格安エアライン』で個人旅行が変わる!」(講談社+α新書)、「鈍行列車のアジア旅」(双葉文庫)、「『生き場』を探す日本人」(平凡社)。

阿部稔哉(あべ・としや)
1965年生まれ。富士山のてっぺんからアフガニスタン一周まで下川 氏に同行してしまったカメラマン。今回は妻の冷たい視線をよそにユーラシア横断。紀行、ポートレート、料理、風景など幅広く撮影。






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