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Vol.19 カスカイス
スペインのイルンを発車した夜行列車は、ホテルのように快適だった。そして翌朝、ポルトガルに入国。昼前にリスボンに到着した。
ユーラシア大陸最西端の駅。それはリスボンではない。
そこから西に電車で少し揺られた先にあるカスカイスという駅だった。2万キロを超える列車の旅を考えれば、残りは短い。リスボンの街から乗った電車は、僕らの思いなど関係なく、淡々と西に向かって進んでいった。リスボンの郊外電車の趣である。大学生らしき若者や、買い物帰りの主婦が次々に乗ってくる。
「旅も終わりだ」と、なにかカウントダウンのような心境で乗り込んだのだが、あまりに平凡な日々を乗せた電車に、落としどころがみつからず、やっぱり窓の外をぼんやり見つめていた。


下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年生まれ。「12万円で世界を歩く」(朝日新聞社)でデビュー。おもにアジア、沖縄をフィールドに著書多数。近著に「『格安エアライン』で個人旅行が変わる!」(講談社+α新書)、「鈍行列車のアジア旅」(双葉文庫)、「『生き場』を探す日本人」(平凡社)。



阿部稔哉(あべ・としや)
1965年生まれ。富士山のてっぺんからアフガニスタン一周まで下川 氏に同行してしまったカメラマン。今回は妻の冷たい視線をよそにユーラシア横断。紀行、ポートレート、料理、風景など幅広く撮影。






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