その昔、香木を積みだす港だったことから呼び名がついたと伝えられる香港。今も昔も、旅人を引きつけてやまないのは、優美なカーブを描く港の美しさ、そしてそれを首飾りのように彩る夜景のきらめきだ。
香港名物・100万ドルの夜景がここ数年、急激に進化している。「世界で最も長時間継続されている、大規模な光と音のショー」としてギネスに登録されたシンフォニー・オブ・ライツ、夜景が楽しめるレストラン、おなじみの渡し舟スターフェリーが実施するナイトクルーズなど、ある場所ではにぎやかに、ある場所ではしっとりときらめく夜景を堪能できる。案内人おすすめの夜景観賞スポットをご紹介しよう。


ポルトガル人が初めてマカオに上陸したのは1513年。正式に植民地としたのは1887年のことなので、1999年の中国返還まで実際の支配は100年余り。にもかかわらず、マカオの街を歩いて感じるのは、色濃く残るポルトガルの風情だ。一方、カジノを海外資本にも開放して以来、珠江沿いの古い町並みにも、再開発の影は確実に忍び寄っている。
すべてのリズムが速い香港からのんびりしたマカオに渡り、古い石畳の道や細い路地の続く旧市街を歩く楽しみは、2005年に八つの広場と22の建造物が世界遺産に登録されたことで、ギリギリ守られたと言っていい。ポルトガルと華南という要素が混在したこの街が大好きでひんぱんに通っている身としては、ほっとしたというのが正直なところである。
街歩きの起点はやはりセナド広場。周囲には世界遺産に登録された建物が集中している。広場を背に聖ドミニコ教会へ向かう。さらに右へ曲がり最初の角を左へ進めば、路地は聖ポール天主堂跡へ。あたりは門前町のにぎわいを見せはじめる。壁に向かって左側にある解説に沿って彫刻を見るのがおすすめだ。


このほか、崗頂前地(聖オーガスティン広場)、聖オーガスティン教会など、世界遺産に登録された場所に次々と現れる。なかでも聖ヨゼフ修道院の聖堂は華やかだ。
坂が多く、路がまっすぐでない旧市街では、道に迷うことはあたり前。いくつかの世界遺産を目印に、途中に現れる古い風景や人々の暮らしを楽しみながら歩いてみたい。はるばるやってきた日本人や、大航海時代に思いを馳せつつ角を曲れば古い中国の街が現れる。
なんとも盛り沢山なマカオ歩きは、飽きることがない。


久米美由紀(くめ・みゆき)
フォトグラファー。香港を拠点に、雑誌・広告の撮影を手がける。香港とマカオの食と雑貨にひかれ、最近は行ったり来たりの日々。二つの街の魅力を伝えることが何より楽しい。

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