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ニッポン彩発見 広重 五十三次をゆく

歴史の移ろいに想いを馳せる東海道の旅 第五部 由比 静岡県由比町 −江戸の眺めを今に伝える大パノラマ−

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晴れた日は富士も望める大パノラマ

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興津方面から望む現在の由比宿。並行して走る国道1号線の喧騒(けんそう)が嘘のように静かなたたずまい。旧東海道の両側には旧家も少なくなく、江戸時代の雰囲気をしのばせるに十分だ。名物・桜エビ料理を出す店も散見される。

それでは由比宿を歩くことにしよう。

蒲原方面から由比宿に入り、往時の面影が残る街並みを進んでいくと、右手に本陣跡が見えてくる。もちろん当時の建物はないが、跡地は「由比本陣公園」として整備され、表門、石垣、木塀、物見やぐらなどが復元されているほか、明治天皇が小休した離れ座敷も記念館「御幸亭」としてよみがえった。園内には、広重の作品を中心に1300点を越える版画コレクションを集めた東海道広重美術館も併設されている。

その向かいにあるのが正雪紺屋。ここが由井正雪の生家で、現在も18代目当主が紺屋すなわち染物屋を開業中。店内には昔の仕事場や道具が残され、裏庭には正雪をまつったほこらもある。

宿場西はずれの由比川を渡り、さらに北田、町屋原の集落を過ぎると、左手にJR由比駅。この先で交差する県道396号を越えると、旧東海道は寺尾、さらに倉沢の集落へと入っていく。このあたりは江戸時代の街並みの名残を色濃く残しており、旧家も少なくない。その代表が寺尾村名主の小池家の屋敷跡である小池邸。現在の建物は明治時代に建てられたもので、国の有形文化財。邸内には貴重な資料が展示されている。その斜め向かい、わが国のあかりに関する資料を収蔵している「あかりの博物館」は、大正8(1919)年の建築だ。

さらに西へと進むと、かつては「間の宿(あいのしゅく)」だった倉沢地区。いよいよさった峠へとさしかかる。その上り口手前にある「望嶽亭藤屋(ぼうがくていふじや)」は、多くの文人墨客が利用した茶屋跡。離れ座敷から雄大な冨士を望めることからその名がついた。また、維新前夜の慶応4(1968)年、官軍に追われた幕臣・山岡鉄舟(てっしゅう)が逃げ込んだというエピソードでも知られ、山岡を漁師に変装させて海へ逃がした階段がいまも残り、その際に置いていったというピストルも見ることができる。

望嶽亭で道は二手に分かれ、左に下りれば下道、中・上道を行くにはそのまま坂を上っていけばいい。ビワとミカン畑のなかを上道と中道の分岐点まで進んでいくと駐車場があり、そこから細い中道を歩いて展望台へ。その上に立ち、来た方角をふり返れば、広重の絵そのままの風景が姿を現す。左にがけ、右に駿河湾、それを見下ろすように聳(そび)え立つ富士山を眼にしたときの感動は、江戸時代の旅人が味わったそれと少しも変わらないはずだ。

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本陣公園内にある東海道広重美術館。世界に数点しかない「木曽海道六十九次之内・中津川」やゴッホが模写した「亀戸梅屋舗」ほかの広重作品を中心に、1300点を超える版画を収蔵している。
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由比宿の西はずれ、寺尾地区にある小池邸は、代々寺尾村の名主を務めた小池家の屋敷跡。明治期に建てられた建物は、大戸、くぐり戸、海鼠(なまこ)壁、石垣などに江戸時代の名主宅の面影を残している。
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さった峠のふもとにある望嶽亭藤屋。かつてはサザエやアワビ料理が名物の茶屋で、多くの文人墨客が利用した。広重も隷書版の「由井」に、弥次・喜多を入れ込んで当時の姿を描いている。建物内を見学することも可能だが、現在は個人宅なので一声かけて。

東海道名物紀行 〜寄り道グルメガイド

春埜製菓の「たまご餅」

春埜製菓の「たまご餅」

10個入り735円(税込)

東海道中膝栗毛に「さとう餅」の名で登場する由比名物「たまご餅」。名前の由来は、表面が卵のように白くつるつるとしているからだとか。口溶けのよいこしあんをもっちりとした食感の餅で包んだ、シンプルながら優しい味わいが特徴。手ごろな大きさでお茶うけにも最適なのは、さすが街道筋の茶店名物といったところか。現在ではこの春埜(はるの)製菓でのみ作られており、上新粉と小豆で作る昔ながらの製法はそのままに、材料を吟味して今に伝えている。

住所:静岡県庵原郡由比町北田92

電話:0543-75-2310

営業時間:9:00〜18:00

定休日:月曜日

春埜製菓

文:藤田 健児
写真:熊切 大輔
(更新日:2006年08月24日)

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