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ニッポン彩発見 広重 五十三次をゆく

歴史の移ろいに想いを馳せる東海道の旅 第六部 丸子 静岡県静岡市(駿河区)丸子 −名物とろろ汁と山間の宿場町−

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山越えの難所、宇津ノ谷の秀吉伝説

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かつては徒歩で越えていた難所の宇津ノ谷峠も、いまではトンネルを通ってひと息で通過できてしまう。向かって右側が昭和34(1959)年に開通した「昭和のトンネル」、左が平成7(1995)年開通の「平成のトンネル」。ちなみに峠に掘られた「明治のトンネル」〔明治37(1904)年開通・二代目〕と、自動車時代の到来にともない大正15(1926)年に着工された「大正のトンネル」〔昭和5(1930)年開通〕も残っている。

柴屋寺を出て再び旧東海道に戻り、国道1号と合流を繰り返しながら西に進んでいくと、いよいよ東海道の難所のひとつ、宇津ノ谷峠にさしかかる。国道はそのままトンネルで峠を抜けるが、旧東海道は、豊臣秀吉が天正8(1590)年に小田原の北条氏を攻める際に通った峠越えにかかる。

道はほどなく二股に分かれるが、左に進み、宇津ノ谷の集落へと入っていくのが当時のルート。町場だった宇津ノ谷集落は、いまでも細い坂道の両側に屋号の札がかった40戸あまりの古い民家が軒を連ね、江戸時代にタイムスリップしたようだ。そんな町並みを見ながらしばらく登っていくと、右手に「お羽織屋」との屋号を掲げた家が。ここでは屋号の由来となった、豊臣秀吉から拝領したという陣羽織を見ることができる。

小田原征伐の際にここを通りかかった秀吉は、軒先につるされていた馬の沓(くつ)に目をとめ、使い古した自分のものと交換してほしいと申し出た。ところが主は三脚分しか出さない。「馬の脚は4本なのになぜだ」と問う秀吉に、主はこう答えた。「三脚は道中安全を祈って差し上げるもの。残り一脚で戦の勝利を祈るつもりである」。気をよくした秀吉は戦に勝っての帰途、再びこの家に立ち寄り、ほうびとして陣羽織を与えた。現在の当主は、拝領の経緯をこのように語ってくれた。ここではかつて峠越えのお守りとして旅人が求めた「十団子」も売られている。

車で行けるのはここまで。お羽織屋の先の石段を上りきると、山中へと分け入る細い道がある。これが宇津ノ谷峠を越える旧道だ。河竹黙阿弥作「蔦紅葉宇都谷峠(つたもみじうつのやとうげ)」には、座頭の文弥が丸子の宿で泊まり合わせた商人の重兵衛にこの宇津ノ谷峠で殺されて金を奪われる場面がある。さもありなんと思わせるような薄暗く、険しい道が続く。無事峠を越え、次の宿場である岡部に到着した旅人は、さぞ胸をなでおろしたことだろう。

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往時の東海道の雰囲気をいまもとどめる宇津ノ谷の集落。細い坂道の両側には40軒ほどの古い家が立ち並ぶ。かつては峠越えを控えた旅人が小憩するための町場としての機能を果たしていた。いまでもおたがいの家を屋号で呼び合うそうだ。
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宇津ノ谷集落のお羽織屋に飾られている豊臣秀吉の陣羽織。小田原征伐の帰途、秀吉が直々に当主に与えたものだという。この陣羽織を見た徳川家康がその記念に贈ったという茶碗と徳川慶喜から拝領した茶碗もある。
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宇津ノ谷集落から峠越えにかかる旧東海道。古代の大和国と東国をつなぐ官道を起源とし、黙阿弥の「蔦紅葉宇都谷峠」の舞台にもなった、うっそうと木が生い茂る細い道が続く。この下をレンガ造りの明治のトンネルを通っている。

東海道名物紀行 〜寄り道グルメガイド

丁子屋の「とろろ汁」

丁子屋の「とろろ汁」

丸子セット(とろろ汁・麦入ご飯・みそ汁・お新香・薬味)1380円(税込)

風味、ねばりに優れる名産の自然薯を使った丁子屋のとろろ汁は、創業以来400年伝わる秘伝の白みそを使っているのが特徴。麦飯との相性も良く、どこか懐かしい味わいを楽しめる。他に揚げとろ、切とろ、焼とろなどの各種とろろ料理も人気の品。ちなみに、現在の丁子屋は、江戸初期の古民家を移築した店舗で、ちょうな仕上げの曲がりくねった梁(はり)、火縄の跡が残る太い大黒柱など、当時の雰囲気を伝える貴重な建物となっている。

住所:静岡市駿河区丸子7-10-10

電話:054-258-1066

営業時間:11:00〜19:00

定休日:木曜日・月末の水曜日(木曜日が祭日の場合は営業)

文:藤田 健児
写真:熊切 大輔
(更新日:2006年09月14日)

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