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ニッポン彩発見 広重 五十三次をゆく

歴史の移ろいに想いを馳せる東海道の旅 第十一部 関 三重県亀山市関町 −人々の暮らしが残る生きた伝統建築群−

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町自体が文化遺産

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川北本陣跡の斜め向かい、関宿が江戸から106里余にあることから「百六里庭」と名づけられた小公園にある眺関亭からは、その名のとおり関宿を一望できる。電柱もなく、古い町屋が隙間なく立ち並ぶ風景は、江戸時代の宿場そのまま。ただし散策の際は、ここで暮らしている人々がいることをお忘れなく。

「東海道五拾三次」(保永堂版)で歌川広重は、「関 本陣早立」と題して早朝に出発する大名一行の姿を描いている。この本陣は前述の川北本陣だとされているが、絵に描かれた建物の向きなどから、じつは伊藤本陣ではないかという説も有力だ。

その伊藤本陣跡は宿場の中ほど、町並みを一望できる百六里庭・眺関亭の並びにあった。かつては「間口十一間余、建坪は二百六十九坪、西隣の表門は唐破風造りの檜皮ぶきであった」と案内板にはある。現存する街道に面した部分は、「家族の住居と大名宿泊時に道具置場として供する建物」にあたるといわれる。

伊藤本陣のはす向かいにあるのが、かつては前述の鶴屋と並んで関宿を代表する大旅籠だった玉屋。慶応元(1865)年の建物は、現在は関宿旅籠玉屋歴史資料館になっている。

そこからしばらく歩いて右に入った福蔵寺は、織田信長の三男・信孝の菩提寺。境内には母の遺志を継ぎ、父の仇敵を討った逸話で知られる関の小万(こまん)の墓もあり、その裏門は玉屋の向かいにあった萩屋脇本陣から移築したものだ。

再び街道に戻って少し西へ進めば、地蔵院。天平13(741)年、天然痘から人々を救うため、行基が身の丈3尺6寸(約1.09メートル)の地蔵尊をつくって安置したのがそのはじまりとされ、本尊の地蔵菩薩像はわが国最古。いまも多くの参拝客でにぎわっている。

地蔵院を過ぎてから宿場の西はずれの西追分にいたる新所地区は、観光スポットが少なく、観光客も減るが、前方にそびえる鈴鹿峠を見ながら古い町並みをゆっくりと散策するにはむしろ好都合。とくに夕景は幻想的だ。

宿内は銀行や郵便局の建物までが町並みの雰囲気を壊さない造りになっていて、商店の看板などにも同様の配慮がなされている。「あまりに整いすぎている」と思われる方もいるかもしれない。が、往時の宿場の雰囲気をこれだけ残しているのは、東海道ではこの関宿だけといっていい。町自体が貴重な生きた文化遺産なのである。

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「関で泊まるなら鶴屋か玉屋」と謡われた関宿を代表する大旅籠の玉屋は、現在は資料館。慶応元(1865)年に建てられた建物は、旅籠で使われていた道具類や旅に関係する資料が展示されているほか、元文4(1739)年の建築である裏の土蔵には広重の浮世絵も。
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織田信長の三男・信孝の菩提寺である福蔵寺。小万が育った山田屋は会津屋として地蔵院前にいまも残っている。
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奈良時代の高僧・行基によって開創されたと伝えられる地蔵院。境内の本堂、鐘楼、愛染堂は国指定の重要文化財。日本最古とされる地蔵(関地蔵)は「振袖着せて奈良の大仏を婿に」とうたわれるほど美しい。一休禅師開眼の伝説でも知られ、多くの参拝者を集めた。

東海道名物紀行 〜寄り道グルメガイド

深川屋の「関の戸」

清水屋の「小饅頭」

15個入り 850円(税込)

古来、雅やかな言葉として和歌などにも使われている「関の戸」の名を冠したこのお菓子は、ここ深川屋で江戸初期より13代約370年にわたって受け継がれてきた一品。和三盆をまぶした直径3センチほどの小さな餅で、鈴鹿のみねに積もる白雪をなぞらえたと伝わるシンプルなフォルムと上品な甘みは、京都御所の御用商人でもあった同店の由緒を感じさせる。現在の店舗は天明3(1783)年の火事の後に再建したもので、帳場格子、大福帳、銭箱、さらに御用商人だけに許された「にない箱」など江戸期の調度品が今も残り、一見の価値がある。唐破風の下に掲げられた「庵看板」は、上り方向から見ると漢字、下り方向から見ると平仮名で商品名が書かれ、進行方向がわかるようにしたという江戸期町屋の貴重な意匠。

住所:三重県関町大字中町387

電話:05959-6-0008

営業時間:9:00〜18:00

定休日:木曜日

文:藤田 健児
写真:熊切 大輔
(更新日:2006年11月24日)

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