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ニッポン彩発見 広重 五十三次をゆく

歴史の移ろいに想いを馳せる東海道の旅 第十二部 三条大橋 京都市 −旅の掉尾(とうび)を飾る京の玄関口−

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天正期の擬宝珠が残る三条大橋

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蹴上駅付近から京都の町を望む。ここから三条大橋までは一直線のゆるやかな下り坂になっており、かつては町並みを一望できたのだろうが、現在は高い建物が立っているうえ、この日はあいにくの曇り空だった。左手の蹴上の清水跡は現在浄水場になっている。

江戸・日本橋から京都・三条大橋までの道のりは、126里6丁1間(約496キロメートル)。いまは新幹線で3時間もかからないが、かつての旅人は約2週間かけて歩いた。「東海道名所図会」には、三条大橋手前の町の様子についてこう書かれている。

「吾妻下り・江戸登り・伊勢まゐりの坂迎ひなど日岡蹴上の茶店に集ひて酒莚(しゅえん)を催し、あるは餞別(せんべつ)留別の詩歌を送るも多かりき。/旅立やよい日の岡に見送りて/まづ盃を捧げ上げましょ」

周辺がすっかり近代化された現在は、橋下の鴨川の流れのほかに往時をしのばせるものは少ないが、橋の手前、京阪三条駅の東には「高山彦九郎、皇居望拝之像」なる銅像が立っていた。案内によれば、現在の群馬県出身の彦九郎は入洛の際、像のように京都御所に向かって拝礼した。その姿は「大御門 その方向きて 橋の上に 頂根(うなね)突きけむ 真心たふと」と和歌にも詠まれ、明治維新を成就した勤皇の志士たちは彦九郎を心の鑑(かがみ)と仰いだそうだ。

勤皇の志士ではないわれわれも、一応黙礼して三条大橋を渡る。三条大橋は天正18(1590)年、豊臣秀吉の命により、奉行・増田長盛がそれまであった簡素な橋を大改造したもので、以降何度か改築され、昭和25(1950)年に現在見られる姿になった。広重の絵に描かれた橋は長さ約104メートル、幅約7メートルだったそうだが、東側の疎水に地下鉄と側道がつくられたため、74メートルに短縮されたという(幅は15.5メートル)。広重が橋の向こうに描き込んだ清水寺や知恩院もここから望むことはむずかしい。

ただ、絵にも見える欄干の擬宝珠のなかには天正期のものも混在しており、西側から向かって右側の2つめのものには、新撰組が長州藩の尊皇攘夷派を襲撃した池田屋騒動の際についたといわれる刀傷が残っている(池田屋は鴨川の先、高瀬川にかかる三条小橋の西側にあった)。

旅の終わりを惜しむようにゆっくりと橋を渡りきると、西側南詰に立つ弥次・喜多の銅像が旅人を迎えてくれる。おりしも京都は紅葉のピーク。これをさかなに、湯豆腐でもつつきつつ、旅の無事を祝って「まづ盃を捧げ上げましょ」か――。これまで訪れた宿場を思い出しながら、現代の弥次・喜多はそう思った。

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三条大橋から市街を望む。橋を越えれば三条・四条の繁華な街並みが広がる。京の都の玄関口として遠来の旅人たちを迎え入れてきたこの橋は、今なお多くの人々が行き交っている。
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概略「礎を磐石とし、地の中に約9メートル、切石の柱を63本打つ」ほどの大工事であった旨が記された銘がある擬宝珠は、天正期のものと昭和期のものが混在する。西側から2つめ(写真)には、新撰組による池田屋騒動の刃傷沙汰でついたといわれる刀傷が残る。
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三条大橋手前にある高山彦九郎の銅像。延享4(1747)年、現在の群馬県に生まれた彦九郎は上洛のたびに京都御所に拝礼。その姿は勤皇志士たちの心の鏡となったという。写真ではわかりにくいが、かなり大きい銅像である。

東海道名物紀行 〜寄り道グルメガイド

走り井餅本家の「走り井餅」

清水屋の「小饅頭」

白5個入り 450円(税込)

逢阪越えの追分で、「清冽な水が走り出るように勢いよくわく」ことで古くから親しまれてきた「走り井」の井戸。清少納言の枕草子にも記述が見られるというこの走り井の水にちなんで江戸中期ごろに考案された「走り井餅」は、水しぶきのしずくと同地の水で鍛えた名刀に似せた形状で、「道中剣難を免れる」と東海道の大名物になったと伝わる。追分近くで営業する走り井餅本家は、昔ながらの製法を守り、柔らかな食感とほどよい甘みの餅で知られる有名店。他に抹茶、きな粉などの詰め合わせも販売中。

住所:滋賀県大津市横木1-3-3

電話:077-528-2121

営業時間:9:00〜18:00

定休日:無休

文:藤田 健児
写真:熊切 大輔
(更新日:2006年12月14日)

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