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ニッポン彩発見 広重 五十三次をゆく

歴史の移ろいに想いを馳せる東海道の旅 第十二部 三条大橋 京都市 −旅の掉尾(とうび)を飾る京の玄関口−

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歌川広重「東海道五拾三次」(保永堂版)より「嶋田 大井川駿岸(すんがん)」(「東海道広重美術館」蔵)
歌川広重「東海道五拾三次」(保永堂版)より「京師 三条大橋」(「東海道広重美術館」蔵)
写真
地図
広重の絵に見られる茶色の山は比叡山、手前は清水山で、その中腹に清水寺。左に見えるのは知恩院といわれる。よって広重は、三条大橋を西岸上流から描いていることになる。ただ、三条大橋の橋杭は日本初の石製であるのに対し、絵では木製であることから、広重は実物を見ずに描いたとの説が根強い。写真は南側から見た三条大橋。

宿場データ

三条大橋

日本橋から120余里(500キロメートル弱)、天正18(1590)年に豊臣秀吉の命により改築された三条大橋は、東国への出発点として、また京都の表玄関としての役割を果たしていた。橋は江戸時代にたびたび流失したが、幕府によりただちに修復され、昭和25(1950)年に現在の姿になったという。擬宝珠(ぎぼし)は重要文化財。

いにしえの都人も詠み込んだ逢阪関

江戸から数えて53番目の宿場、すなわち最後の宿場である大津宿を抜けると、旧東海道は蝉丸(せみまる)神社下社を過ぎたところで国道1号に合流、逢坂山へ続くゆるやかな坂道となる。

逢坂という地名は、「日本書紀」によれば、忍熊王(おしくまのおう)の反乱鎮圧を命ぜられた武内宿禰が、この地で忍熊王にばったり出逢ったことに由来するそうだが、近江と山城の国境にある逢坂は、昔から交通の要衝だった。平安期には逢坂関が置かれ、蝉丸が「これやこの行くやかへるも別れては知るも知らぬも逢阪の関」と詠ったほか、清少納言も「夜をこめて鳥のそら音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」と詠んでいる。

かつてはもっと険しかったこの峠道は物資運送の難所だったようで、文化2(1805)年に京都の心学者・脇坂義堂が1万両を投じて、花崗岩に轍(わだち)を刻んだ「車石」と呼ばれる石を大津〜京都間の約3里(12キロメートル)にわたって敷き、牛車の往来を助けたという。

坂を上り詰めた右手にある「逢坂山関址碑」を過ぎると道は下り坂、街道は山科方面へと向かう。日本画家・橋本関雪の別荘跡である月心寺を過ぎてしばらく行き、名神高速の高架を抜けて左へ。道は二股に分かれ、「みぎハ京みち ひだりハふしミみち」と刻まれた道標がある。東海道と伏見街道(奈良街道)の分岐点、山科追分である。

余談だが、東海道といえば一般に「五十三次」といわれるが、「五十七次」とする説もある。大阪城が落城し、元和5(1619)年に伏見と大阪が徳川幕府の直轄となると、徳川家康は、伏見、淀、枚方、守口の四宿を新設。大津から京都を経ずに大阪へといたるこの道を「東海道」とした。つまり、53次に先の四宿を加えて「五十七次」というわけだ。

閑話休題。三条大橋に向かうには、もちろん山科追分から右の道を行く。

京阪京津線と並行して西進、後白河天皇が都に入る悪霊を封じるために街道沿いに置いた6つの地蔵尊のひとつがある徳林庵(六角堂)を右手に過ぎ、JR線をくぐって左へ。京阪・御陵(みささぎ)駅の南側を通って九条山を越えれば、蹴上(けあげ)の清水跡に着く。源義経が関東に下る際、関ヶ原与市とこの地で争ったとの伝説が残る場所で、ここまでくれば、あとは三条通りを道なりに進めばいい。東海道の終点、三条大橋はもうすぐだ。

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逢坂山から西側を望む。このあたりは物資運送の難所だった。旧東海道は先の二股で交通量の多い国道1号から右にはずれ、大谷の集落へと入っていく。付近はひっそりとした佇(たたず)まいで、途中には百人一首で知られる蝉丸ゆかりの蝉丸神社の分社がある。
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逢坂を上りきったところに立つ逢坂山関址碑。横には常夜燈もある。逢坂関は、都の防衛のために置かれ、数々の和歌の歌枕にも詠み込まれているが、碑が立っている場所にあったという確証はないそうだ。
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東海道と伏見街道が分岐する山科追分。「みぎは京みち ひだりはふしミみち」と記されている道標はレプリカで、本物は琵琶湖文化会館にある。この追分を伏見方面を進み、大阪にいたる道を東海道とする説もある
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