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ニッポン彩発見 沖縄の風に吹かれて

Vol.01 岸朝子さんが語る、郷土・沖縄の話 ふるさとは沖縄

わたくしは東京・新大久保で生まれ育ちましたが、両親は沖縄出身。父のふるさとは、沖縄本島北部の小さな村、大宜味村(おおぎみそん)の根路銘(ねろめ)という集落で、母は首里の生まれです。

初めての沖縄暮らしをわたくしが体験したのは、1941年夏のことでした。戦争が始まるかもしれないという気配を感じていた父に、沖縄に住む祖父を迎えに行くようにいわれたのです。

ところが祖父は、「おまえたちが帰ってこい」というばかりで、決して東京に行こうとはしてくれませんでした。結局そのまま、3カ月ものあいだ、根路銘で暮らすことになりました。

当時、わたくしは女学校を卒業したばかり。目にするものや食べるもの、なにもかもがめずらしかったことを覚えています。沖縄での暮らしは、海も風も、人のあたたかさも、とにかく心地よく、「自分もやっぱりウチナーンチュ(沖縄の人)なんだ」と思ったものでした。

以来、誰かに「ご出身は?」と聞かれると、「沖縄です」と胸を張って答えています。今も沖縄には親戚が大勢住んでいますので、ふるさとの空気が懐かしくなると足を運びます。

父の出身地である大宜味村は、長寿の里として知られています。約3500人の総人口に対し90歳以上が80人。しかも、「生涯現役」の元気なお年寄りの姿が多いのが印象的です。

先日発表された2006年版高齢社会白書によると、日本の65歳以上の高齢者人口は過去最高の2560万人を記録、高齢化率も20.4%と2割を超え、ピークを迎える50年には35%を超えると予測されています。今後このコラムでご紹介する沖縄の暮らしや伝統の食生活が、少しでも「健康長寿」のヒントになればうれしく思います。

大宜味村にある「日本一長寿宣言の村」の碑。「日本一長寿沖縄県、沖縄一長寿大宜味村、我々大宜味村老人は、自然の恵みにその糧を求める伝統的食文化の中で、長寿を全うし、人生を謳歌している。80(歳)はサラワラビ(童)、90(歳)になって迎えに来たら、100(歳)まで待てと追い返せ、我らは老いてますます意気盛んなり。老いて子に甘えるな。長寿を語るなら我が村に来れ。自然の恵みと長寿の秘訣を授けよう。我が大宜味村老人は、ここに長寿日本一を高々と宣言する」と刻まれている。

写真:嘉納 辰彦
(更新日:2006年06月26日)

プロフィール

岸 朝子(きし・あさこ)

大正12年東京生まれ。 女子栄養学園(現・女子栄養大学)卒。32歳で料理記者としてスタートし、「栄養と料理」編集長を経て、料理専門の編集企画会社「エディターズ」設立。93年より「料理の鉄人」(CX系)の審査員を務め、その批評振りと同時に、誉め言葉「おいしゅうございます」が評判に。

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