那覇の市場を歩けば、店のおばさんが、「豚は爪と鳴き声以外は全部食べるサ〜」などといいながら豚を売っていますが、まさにその通り。沖縄では、豚肉を肉はもちろん内臓、皮、血にいたるまですべて工夫して調理し、まるまる一頭を食べつくします。昔から、沖縄の人たちは、貴重なたんぱく源となる豚肉を大切に大切に扱ってきたんですね。
今回は、そんな豚肉を使った代表的な沖縄料理をいくつかご紹介しましょう。
まずは、みなさんもよくご存じの「ラフテー」。皮付きの三枚肉を、箸はしで切れるほどやわらかくなるまで煮込んだ豚の角煮です。煮込みの途中で、鍋にかつおぶしを山ほど入れるのが特長。うまみを重視する沖縄料理ならではの作り方です。
ラフテーと同じく脂肪の多い三枚肉を使って作るのが、あぶらみそとも呼ばれる「アンダンスー」。ゆでた豚の角切りに砂糖とみそを加えて練り上げた沖縄の保存食で、ごはんにのせたり、おにぎりの具にしたりしていただきます。私が育ち盛りのころは、沖縄から親戚が郵便小包で送ってくれるアンダンスーを楽しみにしていたものです。
「ソーキ汁」は骨付きのスペアリブを大根や昆布こんぶとともにコトコトと煮込んで作る汁物。わが家では正月にこのソーキ汁を大きな寸胴鍋いっぱいに作り、お客さまにふるまいます。元日の夜は、餅を入れて雑煮にし、家族で食卓を囲むのが恒例となっています。
豚の足は「テビチ」といい、じっくり煮込んだものは、ねっとりとした口当たりでクセになります。テビチにはコラーゲンが豊富で、肌や関節の老化防止に効果があるといわれます。

ゼラチン質でぷるぷるとした食感が楽しめるテビチ(豚足)。しょうゆベースの味つけで甘辛く煮付けたり、あっさりとしたおでん風の煮物や汁物にしたりして食べるのが定番だ。煮込んだものを沖縄そばの具にしたりするほか、フライパンで表面をカリッと焼き上げた焼きテビチも人気。沖縄には「テビチ専門店」の看板を掲げる店もある。
写真:嘉納 辰彦
(更新日:2006年10月19日)

岸 朝子(きし・あさこ)
大正12年東京生まれ。 女子栄養学園(現・女子栄養大学)卒。32歳で料理記者としてスタートし、「栄養と料理」編集長を経て、料理専門の編集企画会社「エディターズ」設立。93年より「料理の鉄人」(CX系)の審査員を務め、その批評振りと同時に、誉め言葉「おいしゅうございます」が評判に。
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