2年半ほど前、築地市場の青果仲卸の重鎮に聞いたことがあります。
「なぜ、日本人の野菜ばなれは進んだのでしょうか?」。 その答えは、「それはね。八百屋が悪い。最近はきれいに並べるのが八百屋の仕事だと思っている人が多いからね…」
「もうひとつ。規格だな。昔は箱に収まらない立派な野菜がたくさんあったもんだ。すごい農家っていうのは、規格箱なんぞに入らない逸品を作って、市場に出してきたが、最近は規格箱に入ってないと駄目だから」
千寿葱を通じて、食材のあり方も考えてみたいものです。見た目じゃなくて、味と実質で判断する価値観を持ちましょう。
欧米では青果売り場には必ず計りがあります。野菜や果物のほとんどは、重さあたりの単価が表示されていて、お客はその単価で高い安いを判断します。
それに引き換え、多くの日本人は1袋いくら、1個いくら、で判断しています。
普通の3倍もあるような千寿葱が1本250円だとして、果たして高いのでしょうか? 味は文句なくおいしいですし、実質の可食部も多いです。
また、初物は相場が高く、初物好きの日本人が買うということで、おいしくもない段階で店頭に並べる小売り。それは青果物に限りません。馬鹿みたいに早い時期に、うまくもない小笠原あたりでとった、石のようなカツオを「初カツオ入荷!」と売る。それを買う消費者。
結局、おいしくないから、カツオ嫌いを増やしているだけです。野菜もしかり。どんなに農業技術が進んだとしても、農産物は工業製品ではありません。
写真:八木澤 芳彦
(更新日:2006年07月19日)
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