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1875(明治8)年、中国から蟠桃(ばんとう)、天津水蜜、上海水蜜の3種の桃が日本国に伝わりました。この3種が日本の桃の源流となりました。
古来より、中国でも日本でも、桃には霊力が備わっていると信じられてきました。3つの原種の桃には、それぞれ興味深い話があります。桃は「邪気を祓(はら)い不老長寿を与える植物」として大切にされてきました。

西遊記の中で桃が登場する場面、覚えている方も多いかと思います。斉天大聖・孫悟空が天界で担当していた職務が、この天界の蟠桃園の管理です。
3600本の蟠桃のうち、前列の1200本は3千年に一度、実をつけ、それを食せば仙人になる。真ん中の1200本は六千年に一度、実をつけ、それを食せば不老不死になる。一番奥の1200本は9千年に一度、実をつけ、それを食せば、未来永久に生き続けられる、とされていました。
孫悟空は番人でありながら、この蟠桃を盗み食いし、不老不死の肉体を手に入れたのです。この蟠桃、非常に数が少なく、恐らく、全国に多くとも2、30本しか残されていないと思います。
座布団をねじったような姿は異様ですが、濃厚でまったりとした味わいに驚かされます。流行のジューシーな桃ではないですが、比類なき不思議な魅力があります。
天津水蜜は戦前まで絶大な人気を誇った品種です。理由は特定できませんが、人気がなくなり、今ではほぼ絶滅状態です。岡山県農業総合センター農業試験場以外には、国の果樹試験場にしか残されていないようです。
先端部がとんがり、割れ目がはっきりした天津水蜜。おとぎ話の桃太郎の挿絵にぴったりです。岡山をはじめ、全国各地に桃太郎伝説は残されていますが、そもそもは、「桃を食べて若返ったおばあさんが子供を生んだ」というのが筋書きのようです。
それほど、古来より桃が持つ、アンチエイジング効能や回春効能に注目されていたのです。
蟠桃と天津水蜜はほとんど絶えてしまいましたが、これと言った伝説が残っていない上海水蜜のみが、岡山の地で独自の発展を続けることになります。
※岡山県農業総合センター農業試験場にはこの3種を含め、およそ100品種、200本が育てられています。

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