
明治以来、脈々と引き継がれてきた、岡山の桃の改良精神は今も健在です。最新の品種はまさに岡山白桃史上最強になる素質十分のおかやま夢白桃です。
大きなものは400グラムを超える超大果。果汁は豊かで甘く、渋みがほとんど無いうえに、生理落果も少ないという優良品種です。
岡山県農業総合センター農業試験場が開発した、21世紀の岡山白桃の有望株です。
試験場の桃の権威、笹邉幸男さんに話をうかがいました。訪ねたのは7月28日。ちょうど梅雨明けの猛暑の中、試験場の皆さんが桃を収穫し、汗をぬぐいながら、様々なデータを集積していました。


まだまだ、玉が小さいです。あと2週間くらいで、この5割増ぐらいの玉に成長します。桃の味や姿の魅力はもちろん、栽培が比較的容易なことから、将来の岡山白桃のエースになりうる期待の新星です。(笹邊さん談)

長い間をかけて100品種もの桃を大切に育てながら、年に一度しか収穫結果が出ないわけですから、短距離的な真剣勝負とマラソン的な持久勝負の両方が要求されます。こうした、地道な努力と汗が、岡山の白桃の発展を支えているのだと実感しました。

山梨や山形などでも、袋をかけて桃を育てる産地や品種はありますが、岡山は基本的にすべての桃に袋をかけます。また、他産地では収穫前に袋を取り、全体を赤く色づけしますが、岡山は最後の最後まで袋をかけたままで、限りなく色白に育てます。
正確には袋の下が開いているものもあり、そこから微かに入る光で、桃の先端部だけがうっすらとピンクに色づきます。
この袋掛け栽培は、1882(明治15)年にマスカット栽培の先駆者である、山内善男氏が開発したと伝えられます。もともとは、桃の虫除けのために掛けられた袋ですが、その後は、進歩した農薬の登場で、岡山以外の産地は無袋栽培に切り替えたのに対して、白桃にこだわった岡山だけに、この袋掛け栽培が発達したのです。
農薬使用量を限界まで減らすために手間を惜しまない。何と桃では不可能と言われる有機栽培の園地もあります。
桃の木の下にはシートが張られ、雨の浸透と下草の発生を防ぎます。桃の味を悪くするのは必要以上の水分です。桃の原産地は中国の甘粛省・陝西省の高原地帯といわれています。雨が少ない地域が原産ですから、日本の多雨と桃は相性が悪いのです。
また、梅ほどの大きさの時に袋をかけるので、その後の農薬散布でも、桃の実に直接農薬がかかることがほとんどないわけです。桃の園地では集蛾灯をたくさん設置し、虫がつくことを極力防ぎ、農薬の使用を限界まで少なくする努力を続けています。
安心で安全、そして美しくおいしく。困難で手間が掛かることにひたすら取り組む桃農家。本当に頭が下がります。



岡山の桃農家にうかがうと、「産地で収穫したての桃を、氷水の中で30分くらい冷やし、洗いながら、産毛をとり、そのまま、皮付きで食べるのがうまい!」とおっしゃっていました。
さすがに産地にはいけませんので、一般的な桃の食べ頃の判断方法をうかがいました。

桃肌の緑色が消えて、乳白色になったら食べごろサインです。香りでの判断は、桃特有の芳香が豊かに香りだしたころが食べごろ。手のひらで持った感じが軟らかい感じになってきます。
色白で産毛に覆われた白桃。非常に傷がつきやすいです。指で触れただけで、色がつくほどデリケートです。ここまでくると、まさに芸術品です。
写真:八木澤 芳彦
(更新日:2006年08月07日)
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