
食道楽の街・大阪黒門市場のこだわりの魚屋、黒門丸一の由井政伸さんに、活けハモのさばきと骨切りを教えてもらいました。もちろん、淡路島の活けものです。
まず、ハモばさみで獰猛なハモを挟み、首の付け根と尾の先に包丁を入れ、活け締めにし、氷水で締めながら血抜きをします。首の皮一枚でつながっているだけですが、まだかみ、胴体は動き続けます。まさに強靭な生命力です。
血抜き後、太い針金を背骨の神経に沿って通し、生命を完璧に絶ちます。こうすることにより、死後硬直を防ぎ、食感を長く保つことができます。

8月末の時期、お腹を開けると、まだ、たっぷりと卵を抱えています。次に背びれを取り、包丁を使い、丁寧に皮のぬめりを取り去り、いよいよ、骨切りできる状態になります。丁寧にぬめりを取らないと、調理した時に臭みが残ります。


ハモは小骨が多く、全身の骨の総数は3500本といいます。骨切りは、1寸(約3センチ)に24回が理想だそうです。腕力で切ると、皮まで切ってしまいますが、重たいハモ包丁を使って、押し切り気味に進めると、意外にスムーズに骨切りが出来ます。ハモを日本人だけが食すのは、骨切り技術の発明があってのことなのです。
私も骨切り体験しましたが、このハモ包丁と、一定以上の技術があれば、骨切りの真似事はできると思います。ただし、問題はその前の下ごしらえです。これは素人ではまず不可能です。
黒門丸一の由井さんは、1日に最低20尾をさばくそうです。1尾の骨切りで6百回は包丁を入れますので、1日で1万2千回も骨を切る勘定になります。「しゃりしゃり」という軽快な音と共に、骨切りは進みます。

江戸の寛政年間、今から2百年以上も前に、淡路島沖の沼島の漁師が、小アジをエサにして釣る延縄(はえなわ)を発明したのが、ハモ延縄漁の起源と伝えられています。

今回は沼島の少し北に位置する、洲本市由良港を訪ねました。由良港の水産仲買人、山由丸の山本勝彦さんの案内で、ハモの水揚げと競りを取材することができました。エサは、エビやカニ、小魚。淡路島のまわりはハモだけでなく、同じようなエサを食べるタイやタコの名産地です。漁では、エサが良いことは絶対条件です。さらに、海流の激しい外洋のハモと異なり、この海域のハモは皮が薄く、骨も細いので、特に上質なものとして、市場でも高い評価を得ています。


1尾1尾、延縄(はえなわ)で釣りあげたハモは、いけすで活かしたままで、港に戻ります。大きさはまちまちです。この日の水揚げで一番大きかったのは、2.2キロでした。京都や大阪では好まれない大きさですが、淡路島の地元では、この大きなハモが珍重されるそうです。
競りは意外に遅く、午前11時半から。競り落とした魚を仕分けして、関西や関東の市場にどんどん送られていきます。この日の水揚げは少なかったですが、最盛期はこの10倍以上の水揚げがあるそうです。
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