


私が訪ねたのは、長年大豆を作っている太刀川久訓(ひさのり)さんの肴豆の園地でした。ちょうど、収穫祭用の肴豆を使った大福を作るため、本番よりも数日早めて収穫する日でした。今年は7月の長雨で成長が良くないそうですが、それでもかなり立派です。普通の年であれば、大人の腰ほどの高さにまで成長するそうです。
太刀川さんは長年、肴豆をいろいろな場所に植えてきたそうですが、何故か、枝豆として食べる場合は、水田に植えたものが一番おいしいそうです。
収穫が終わると、サヤをとる機械にかけ、選別します。大きなドラムに大きな爪が付いていて、脱穀と似た要領で豆のサヤを引きちぎり、豆と枝を分離します。その次に選別をします。
伝統野菜にはよく見られるのですが、サヤのばらつきが大きいです。味に違いはないのですが、小売では見た目が重視されるので、どうしても、選別作業をせざるを得ません。1粒のサヤの枝豆は商品になりません。
こんな作業も、コストアップの原因です。消費者はおいしいものを継続的にリーズナブルな価格で食べたいのであれば、こうした作業は無くしてあげる必要があると思います。

長岡の肴豆は緑豆の一種で、茶豆の仲間ではありません。茶豆は中の皮が厚いので口に残る感じがありますが、肴豆はサヤの内側の皮が薄いため、いくら食べても食べ飽きません。食べ始めると「やめられない、とまらない」状態になります。うまみと香りのバランスが絶妙です。

切り取った肴豆をボウルなどに入れ、あら塩をたっぷり振り、よくもみ、水で流します。ゆで具合は時間ではなく、つまみ食いがポイントです。私は2軒の農家で少し早めの肴豆をいただきました。どちらの女将さんも、ゆで方のポイントは、ゆでる時につまんで食べて、好みの具合に仕上げることだそうです。
ゆでる時間は5分程度ですが、それも鍋の大きさ、お湯の量、火力によっても違います。なにごともマニュアル万能の時代ですが、こと枝豆のゆで方は味見につきます。
ラーメン屋ではめんの固さを聞かれることが多くなりました。ご飯も固めと柔らかめと好みは分かれます。ステーキもしかり。枝豆も同じです。


肴豆の取材のついでに、貴重な有機栽培の田んぼを訪ねました。ちょうど、コンバインで収穫の真っ最中でした。有機栽培ということは、化学肥料はもちろん、除草剤、農薬は一切使いません。
栽培農家の方に、何が一番大変なのかをうかがいました。皆さん口をそろえて、「草取り」と答えられました。特に、暑い時期の草取りは地獄だそうです。最初に軽く除草剤をまけば、ずっと楽になるそうですが、そうはいきません。田んぼを見れば、雑草だらけです。カエルもイナゴもたくさんいます。農家の方が最後にポツリ。「こんなに苦労しても、お米は安くなる一方。もう、来年は有機栽培やめるよ」
我々消費者は考えるべきです。経済的な見返りがなければ、産業としての農業は続きません。苦労して育てた有機栽培のコシヒカリ。美味なうえに安全です。お百姓さんたちの苦労に敬意を評して、お財布のひもを緩めるくらいの心意気を持ちたいものです。
残暑厳しい長岡。お米の収穫後は、肴豆を相方に冷たいビール。長岡の農家の皆さんが、今年も無事に肴豆を楽しんでくれることを祈り、長岡を発ちました。
写真:八木澤 芳彦
(更新日:2006年09月29日)
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