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ニッポン彩発見 こだわりの生産地

目からウロコの「うまいもん」情報が満載 Vol.08 富士宮の豚 富士の大自然と豚にかける人々が守る、日本の豚

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 世界中から豚の優れた血統を集め、その遺伝子を未来に伝えてゆく。生産量ではなく、日本人の食文化にあう、上質な豚肉にこだわる飼育法。

富士のふもとの豚好きたちの絶え間ない努力に、日本の養豚の未来が見えます。

豚博士の異名をとる桑原康さん

富士のすそ野に広がる静岡県富士宮市。豊富な湧(わ)き水と、高原の清涼な気候に恵まれ、明治時代から養豚が盛んな地域です。

富士山のふもとの広大な放牧地で、血筋の確かな豚はのびのびと育ち、一般の豚の数百倍もの運動をすることで、締まって、うまみのある肉になります。

優良品種の普及につとめる農事組合「富士農場サービス」の桑原康さんを訪ねたのは9月中旬でした。

獣医でもある桑原さんは、世界の養豚界では著名な豚の人工授精の権威です。世界中の優良種を守りながら、日本の養豚業発展のために、さまざまな難題にチャレンジし続ける、まさに豚博士です。

日本の養豚の源流 6大原種

ランドレース
ランドレース
大ヨークシャー
大ヨークシャー
デュロック
デュロック
ハンプシャー
ハンプシャー
バークシャー
バークシャー
中ヨークシャー
中ヨークシャー

桑原さんの先代が1950(昭和25)年に開設した種豚場を受け継いで以来、桑原さんの人生は、豚の優良品種発掘・改良・普及の歴史といえます。

毎年、欧米諸国に良い豚の血統を訪ね、片田舎の農家まで足を運び、「これは」という豚を買付けています。高いものは1頭数百万円もするそうです。

「餌や環境も重要ですが、血統が豚の品質を左右する最大要因です」(桑原さん)

桑原さんの農場の種豚施設は、養豚場のイメージとはほど遠いです。一般の人は入れない外部と遮断された空調完備のスペースに、約210頭の「サラブレッド」のような種豚が悠々と生活しています。

どの豚も大きいのに驚きます。350キロは当たり前。大きいものは500キロにもなるそうです。どの豚も骨格が立派で、足元がしっかりしています。

感動するのは、その面構えです。「俺様がこの血統では最も優れている!」と主張しているかのようです。

桑原さん自慢のエース級の豚は、日本の養豚界の6大原種がそろっています。※6大原種とはランドレース、バークシャー、中ヨークシャー、大ヨークシャー、デュロック、ハンプシャーをさします。

1869(明治2)年に英国から伝わった、バークシャーと中ヨークシャー。これぞ、多くの日本人が嘆く「昔の豚はうまかった」の昔の豚です。この2種類は日本の古代豚と呼ばれます。

鹿児島などで飼育されている黒豚はこのバークシャーです。

もうひとつの古代豚、中ヨークシャーは全国に今や数百頭しか残っていない幻の豚です。非常に美味ですが、成長が遅いうえに、肉量が少ないため、戦後、欧米から多産の大型種が導入されたことで淘汰(とうた)され、急速に姿を消しました。バークシャーは黒豚として復活しましたが、中ヨークシャーの血筋は、まさに風前のともしび状態です。

おいしい豚なのに、生産性が低い品種は、日本に限らず、戦後、世界的に種の持続の危機に直面しました。スペインのイベリコ豚しかり、ドイツのシュベービシュハル豚しかり、イタリアのチンタ・セネーゼ豚しかり。日本では琉球のアグー豚が同じ運命でした。

幸い、ヨーロッパでは早くに効率重視の養豚が見直され、最近では種の危機は避けられたようです。しかしながら、日本の中ヨークシャーの危機、これは益々深刻になることは間違いなさそうです。

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