
大橋吉太郎さんは、大豊水産の網元の商いを息子さんにゆずり、ご自身は自分の定置網にかかった西別鮭の加工に専念しています。第二次大戦後、旧ソ連軍に国後島を追われて以来、この別海の海で西別鮭を見つめ続けて62年。大橋さんは西別鮭の生き字引です。
大橋さんの西別鮭の加工場をのぞかせもらいました。


ちょうど、いくらの仕込みと、伝統的な棚漬け(塩鮭)の最盛期でした。大豊水産の定置網で泳いでいた鮭は、水揚げ後、4〜6時間で、大橋さんの手で下処理されます。
このスピードが最高のいくらや棚漬を生みます。
「どんなに加工技術がすごいと言っても、鮮度にはかなわないよ…」(大橋さん)1本1本の鮭の具合に応じて、手作業で丁寧な仕込みをする手の力、そして、眼力がおいしい鮭を生むことは、間違いないです。
たった1本のマキリ(小刀)をたくみに操り、次から次へと鮭の下ごしらえを続けます。マキリがシャリと鳴り、えらがポトリと落ちます。さらに、おなかが裂かれ、いくらや白子が取り出され、血合いもかきとられます。その丁寧な仕事ぶりには無駄がなく、理にかなっています。極上のいくら、極上の鮭の棚漬けには、化学調味料や添加物を一切使いません。


昔ながらの製法を守りながら、最高のブランド鮭「西別鮭」の名を全国に広めるため、大橋さんは毎日、限界まで仕込みを続けています。
もう少し寒くなれば、棚漬けした鮭を寒風にさらし、さらにうまみを凝縮した、寒風干しも仕込みます。
「寒すぎても駄目、もちろん、雪は駄目。干しだすと出来上がるまで、止められないから、お天道様とにらめっこの真剣勝負だよ」(大橋さん)
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