「命の薬」と書いて「ぬちぐすい」。体によい食材や料理を指す沖繩方言で、さらに心なごむ風景や、魂が洗われるような芸術なども指す、意味の深い言葉だ。
そんな「ぬちぐすい」を探して歩く企画の第二弾。今回ご紹介するのは、古墳時代の塩づくりを再現した「海人の藻塩(あまびとのもしお)」。1500年前の古代人が生んだ製塩法をよみがえらせ、世界に知られる味となった藻塩。先人の知恵を受け継いだ味を、近代的な設備で生み出している広島県の上蒲刈(かみかまがり)島を訪れた。

「海人の藻塩」は、うっすらと灰色がかったベージュ色。指でつまむとザラッとした感触で、市販の粗挽きコショウほどの大きさの粒だ。舐(な)めてみると、口の中でなめらかに溶け、ふわっとした甘みが広がる。あれ、塩なのに……? と思った頃に、柔らかい塩味と同時に、複雑なうまみを感じる。とんがった塩辛さのない、まろやかな味だ。

97年の塩の専売法の撤廃以来、全国各地でさまざまな製塩法が開発され、健康的でおいしい塩が続々と販売されている。
この味はシンプルな調理法と相性が良さそうだ。たとえば塩だけで握るおにぎりや、魚や肉の塩焼きに用いれば、いつもの味が確実にグレードアップするだろう。また天ぷらや刺身のつけ塩にもぴったりだ。

藻塩もそのひとつ。これはその名が示すとおり海藻を使って作る塩で、海藻の栄養成分、たとえばヨードをはじめ、カルシウムやマグネシウムといったミネラルを豊富に含んでいる。その分、塩化ナトリウム自体の濃度が低くなるので、塩でありながら、塩分控えめという特色があるという。余分な塩分を身体から排出させる働きを持つカリウムを大量に含んでいる点も見逃せない。
いわば「自浄作用」を持った「ぬちぐすい」といえそうだ。

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