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日本百名山

第2回 槍ヶ岳 常念岳 日本百名山

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評論家臼井吉見氏が書いていた。松本の氏の小学校の校長はいつも窓から外を指して「常念を見よ」と言ったが、その言葉だけが今も強く記憶に残っている、と。また松本に数年住みながら、いっこう山登りに興味を持たない男だったが、ただ常念だけは一度登ってみたかった、と洩らした友人がいた。松本平から見た常念岳を知っている人にはその気持がわかるだろう。

それはわが友人だけではない。六十年も前にウェストンが言っている。「松本付近から仰ぐすべての峰の中で、常念岳の優雅な三角形ほど、見る者に印象を与えるものはない」と。ウェストンもやはりその美しい金字塔に惹かれて登ったのだろう。彼がその頂上に立ったのは明治27年(1894年)の夏だった。

金字塔と呼ばれるにふさわしい山はわが国に幾つも数えられるが、その最も代表的な一つとして常念岳が挙げられよう。ウェストンはその頂上に小さなケルンを見つけた。彼より以前にもう熊やカモシカを追う猟師たちが登っていたのである。かつて天狗を祀った小祠もあったそうだが、ウェストンはそこに二つ三つの石が散らばって残っているのを見ただけだった。日本アルプスのパイオニアであるこの外国の登山家から、私たちは常念の名前の謂われまで教えられる。彼が道案内の猟師から聞いた話によると、昔、密猟者がこの山の谷間で野営していると、頂上から風に乗って夕べの勤行のお経と鐘の音が聞こえてきた。それが夜通し続くので、密猟者は良心の呵責にあい、再びこの山へ近づこうとしなかった。それを聞き伝えた麓の人々は、この山に常念坊という名前を付けたという。常に念じている僧のいる山の意である。また一説には、いずこの者とも知れぬ僧形が麓の酒屋に現れて奇蹟を示したので、人々はこれを山の精の化身として常念坊と呼んだとも伝えられる。昔は常念岳とは言わず常念坊と呼んでいた。 (後略)

※出典:深田久弥『日本百名山』(1964年新潮社刊)の朝日文庫版から再録

よりみち百名山

泊

秘湯の誉れ高い宿

電話:0263-77-2008

中房温泉/安曇野市

源泉温度は70〜97度。独自の方法で、加水せずに冷ましている
長い歴史をもつ登山口の宿
標高1462mにあるポスト。「思い出ポスト」と名づけられている

楽をして秘湯を訪れたいという願望をかなえてくれるのが、7万坪の敷地に36本の湯口、22の風呂を持つ中房温泉。燕岳の登山口としても知られている。内風呂が14カ所、露天風呂が8カ所もあり、一日ですべてに入るのはとても無理なほどだ。

蒸し風呂、地熱浴場、滝の湯、岩風呂など、その多くが混浴だが、女性専用の時間帯も設けられている。敷地内には地熱で蒸気が噴出している場所があり、砂を掘って卵や芋の地熱蒸しが楽しめる。代表的な料理は、「若鶏の地熱蒸し」(6930円)や「地熱蒸しローストビーフ」(2310円)など。

所在地: 長野県安曇野市穂高有明7226
営業期間: 4月28日〜11月30日
外来入浴時間: 9〜16時
料金: 1泊2食付9390円〜外来入浴700円
駐車場: 70台
交通: JR大糸線穂高駅から中房温泉行きバスで45分、終点下車、徒歩5分

泊

登山者を温かくもてなす宿

電話:090-2321-9991

有明荘/安曇野市

森を通り抜けてくる風が心地よい広々とした露天風呂
窓辺に花が飾られているのが目に優しい
中房川のせせらぎが心地よく響いてくる客室

渓谷の細い山道をたどっていくと、突然、窓辺に花々が飾られたアルペンスタイルの国民宿舎「有明荘」が現れる。露天風呂には、源泉から約72度の湯が引かれ、沢の水で調整している。泉質は単純硫黄泉で、神経痛やリウマチに効き、肌がつるりとして湯上がり後も冷めにくい。また、24時間入浴可能な総檜張りの内湯と家族風呂も趣がある。料理は、信州安曇野ならではの土地の味覚を大切にしたイワナの塩焼き、馬刺し、わさびの醤油漬けなど。食堂は11時30分から14時の間も営業しているので、外来入浴とあわせて昼食に利用するのもいい。

所在地: 長野県安曇野市穂高有明中房
外来入浴時間: 10〜17時
料金: 1泊2食付9500円〜外来入浴600円
駐車場: 70台
交通: JR大糸線穂高駅から中房温泉行きバスで40分、有明荘下車すぐ

食

正統派の風味とコシ

電話:0263-83-3637

そば処 時遊庵あさかわ/安曇野市

洗練された店舗デザインとサービスが印象的だ
地粉を使った「わさびの花芽ざる」(1260円)

穂高温泉郷にあり、地元の人も利用する評判のそば屋。中細打ちのそばに少し辛口のコクのあるつゆが合う。土蔵の廃材を再利用して建てられた店内には古材のテーブルが置かれ、器は陶芸作家の作品を使うなど、オーナーのセンスのよさがうかがえる。1000坪の庭に「ふれあいの小径」と名づけられた散策路が設けられ、季節ごとにヒガンザクラ、ヤマアジサイ、一面のそばの花などが歓迎してくれる。

所在地: 長野県安曇野市穂高有明8053-4
営業時間: 11時30分〜14時30分(売り切れしだい閉店)
定休日: 水曜(祝日の場合は営業)
駐車場: 12台
交通: JR大糸線穂高駅から車で10分

湯

地元の人が利用する温泉

電話:0263-83-3637

穂高温泉健康館/安曇野市

「ゆ」と染め抜かれた大きな暖簾が目印
八面大王は、坂上田村麻呂に退治されたと伝えられる鬼のこと。足湯は24時間無料で使える

アカマツやカラマツの木立に囲まれた穂高温泉健康館は、有明温泉からパイプで湯を引く外来入浴施設だ。泉質はアルカリ性単純泉。湯温が65度を超えるために、加水して調整している。内湯のみだが、広々とした浴槽や寝湯がある。湯上がりには休憩室も無料で利用できる。すぐ近くには、「八面大王足湯」があり、こちらも人気だ。

所在地: 所長野県安曇野市穂高有明7720-3
営業時間: 9時30分〜21時(受付は20時まで)
定休日: 第1水曜
料金: 400円
駐車場: 30台
交通: JR大糸線穂高駅から車で10分

買

手作りにこだわるわさび漬け

電話:0263-82-2248

花岡本店/安曇野市

酒のつまみに合う梅わさび(赤)、年配者に好評の金山寺味噌わさび(茶)、潮の香りがする磯わさび(黒)、最高の酒粕使用の特選わさび漬け(白)
清潔感漂う店内。570〜980円の単品が人気

わさびの産地として知られる安曇野でお薦めなのが、わさび漬けの専門店、花岡本店だ。1914(大正3)年の創業以来、90年以上にわたって安曇野の生わさびにこだわり続け、昔ながらの手作り製法を頑固に守っている。特選わさび漬けは、わさびの辛みと酒粕の甘みのバランスがちょうどいい。

所在地: 長野県安曇野市穂高4371
営業時間: 8時30分〜18時30分(1、2月は18時まで)
定休日: 水曜
駐車場: 13台
交通: JR大糸線穂高駅から徒歩5分

(更新日:2008年01月31日)

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