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日本百名山

第8回 黒岳 鷲羽岳 日本百名山

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黒岳は南北二つの岩峰から出来ていて、その北峰にある三角点の2978メートルが、この山の高度と見なされている。しかしその三角点から眺めると南峰の方が優に20メートルは高い。すると黒岳の最高点は3千メートルを越えていることになる。3千メートル峰の少ない北アルプスで、この高さはもっと尊重されていい。

高さだけではない、また一番奥深い山でもある。たいていの山は、その頂上から俯瞰すると、平野か、耕地か、煙の立つ谷か、何か人気臭いものを見出すが、黒岳からの眺めは全くそれを絶っている。四周すべて山である。文字通り北アルプスのどまんなかであって、俗塵を払った仙境に住む高士のおもかげをこの山は持っている。

烏帽子から三ッ岳・野口五郎岳を経て三俣蓮華に至る尾根伝いは、以前は静かなコースであったが、近年は裏銀座などという名が付けられて、登山者が非常にふえてきた。黒岳はその縦走路から少し北に外れているおかげで、空罐や紙屑の難から免れているのは嬉しい。ただ先を急ぐことのみを能とする縦走病患者は、この立派な山を割愛して、少しも惜しいとは思わないようである。

黒岳を立派に眺める場所が二つある。一つは縦走路中の赤岳と野口五郎岳との中間あたりから望むもので、二つの峰頭がキッと立ち、その頂稜からこごしい岩尾根が二、三条、谷へ向かって、巨獣の骨のように下っている。双耳峰が左右に引いた稜線の直下に、私のような地形学に暗い者にもすぐそれと分かる、はっきりしたスリバチ型のカールがある。辻村太郎博士の説によると、その氷河地形は、立山や槍、穂高についで立派なものだそうである。

もう一つは雲ノ平からで、ここでは黒岳はすぐ眼の前に仰ぐ位置にあるので、ドッシリした重量感をもって迫ってくる。雲ノ平は山に包まれた美しい高原であるが、そこから眺めて一番まとまりのある堂々とした山は黒岳である。もしこれがなかったら、高原の値打ちの半分は減じるだろう。北方に見える薬師岳の長い(長すぎる)頂稜の灰白色に対して、黒岳はその名の如く黒々と男性的な強さを持っている。

黒岳の名はそこから来たのであろう。ことに近くの赤岳の赤褐色にただれた無惨な断崖を見た眼には、対照的に黒岳が黒い印象を与える。黒いのは岩の色である。雪のある頃でも、三俣蓮華岳あたりから眺めると、その頂上だけは、岩が雪を振り落として黒々としている。 (後略)

※出典:深田久弥『日本百名山』(1964年新潮社刊)の朝日文庫版から再録

よりみち百名山

泊

源泉かけ流しの湯で登山の汗を流す

電話:0261-22-4006

七倉山荘/大町市

登山者に人気がある内湯
三角屋根が目印

七倉山荘は黒岳の登山口・標高約1100メートルの高地に立つ一軒宿。七倉では唯一の食堂や売店であるため、多くの登山者に利用されている。湯は単純アルカリ泉で、神経痛や消化器病などに効能がある。源泉をそのままかけ流しているのも魅力。外来入浴もできるので、下山の際にひと風呂浴びて疲れを癒やし、くつろいだ時間を過ごすにはうってつけだ。

所在地: 長野県大町市平2118-37
営業期間: 4月20日頃〜11月中旬 食事:10〜16時頃、外来入浴:7〜17時頃
料金: 1泊2食付8000円、外来入浴500円
駐車場: 無料の駐車場が隣接
交通: JR大糸線信濃大町駅から車で35分

食

地元産の細打ちめんに舌鼓

電話:0261-22-8837

そば処 いろり/大町市

「そば定食」はとりわけ人気の高いメニュー

「そば処 いろり」は、大町温泉郷の商店街にある手打ちそばの店。この道30年の主人が手がけるのは、地元産のそば粉にこだわった細打ちめん。少々辛口で濃いめのつゆとほどよく合い、のど越しも滑らか。「ざるそば」(二重盛850円)、「そば定食」(1350円)といった定番から、山菜あんをそばでくるんだ「茶巾そば」(600円)まで豊富なメニューがそろう。

所在地: 長野県大町市平2811
営業時間: 11時30分〜20時(注文は19時30分)
定休日: 不定休
駐車場: 商店街専用50台
交通: JR大糸線信濃大町駅から扇沢駅前行きバスで13分、大町温泉郷下車すぐ

泊

安曇野の味覚とぜいたくな空間を堪能する

電話:0261-22-4800

あずみ野河昌/大町市

湯船に檜材、洗い場に十和田石を用いた開放的な湯舎造り
白壁が印象的なロビー棟は、本棟造りと呼ばれる安曇野の伝統的な様式
懐石料理の一部。一品ずつ供される

あずみ野河昌は、大町温泉郷の中ほどに位置する日本旅館。およそ7000平方メートルの敷地に、わずか10室のぜいたくな造りの宿泊棟や、安曇野の古民家を再生した重厚なロビー棟など、空間をゆったりと使った造りに定評がある。

料理は田舎風の懐石が一品ずつ供される。元は割烹だけに、味は格別。「イワナのわたの石焼き」は、塩のみで味つけをしたイワナのはらわたを、熱した石で焼いた逸品。「おざんざ」は、小麦粉に納豆の酵素を加えて練り上げたオリジナルめん。いずれも宿泊客に評判だ。

湯は、庭園に面した内風呂と露天風呂のほか、各部屋に檜材の内風呂がある。

所在地: 長野県大町市平2860-1
定休日: 不定休
料金: 1泊2食付2万6250円〜
駐車場: 10台
交通: JR大糸線信濃大町駅から扇沢駅前行きバスで13分、大町温泉郷下車、徒歩3分

見

地酒と民話の世界に浸る

電話:0261-22-1942

酒の博物館 民話の里おおまち小太郎/大町市

大町温泉郷の玄関口に並び立つ、地酒と民話を紹介する二つのミュージアム。「酒の博物館」では、北アルプスの清らかな水源に恵まれた安曇野の地酒を紹介。いにしえの酒造りの道具や全国各地の清酒も多数展示している。販売コーナーには、地酒や郷土の食材、日本酒に関連した品物を取りそろえており、土産品の購入におすすめ。

「民話の里おおまち小太郎」では、紙粘土人形の展示と地元有志の語り部による解説で、地域に伝わる民話を紹介している。民話の場面を再現した人形は、地元で活躍する人形作家の松本武子さんが制作。細やかな造形の作品は素朴な味わいを持ち、見ごたえがある。下山後に、語り部との交流やお茶のサービスでくつろぐのもいい。

日本全国の清酒1500本が一堂に並ぶ展示コーナー
創作人形作家の松本武子さんとその作品
隣接した二つのミュージアム(左が民話の里おおまち小太郎、右が酒の博物館)
所在地: 長野県大町市平2811
営業時間: 9〜18時(冬季は17時30分)
定休日: 無休(冬季は木曜、祝日の場合は翌日)
料金: 各400円(両館の共通券は700円)
駐車場: 30台
交通: JR大糸線信濃大町駅から扇沢駅前行きバスで13分、大町温泉郷下車すぐ

買

ギャラリーのような土産物店

電話:090-9008-6986

バザール小町/大町市

安曇野や自然の素材にこだわった品々がギャラリーのように並ぶ
「あっ!ここが噂のバザール小町」とのユーモラスな看板がかかる

大町温泉郷の商店街にあった空き店舗を改装して、2001(平成13)年にスタートしたバザール小町。地元の作家が制作した家具や陶器などを中心に、骨董や雑貨、アクセサリーから地元産の野菜、漬物まで多彩な品ぞろえが魅力のスポットだ。

店内の一角には喫茶コーナーを併設。店主こだわりの自家焙煎コーヒー(250円)や手作りジェラート(250円)がおすすめ。

所在地: 長野県大町市平2811
営業期間: 8〜19時(季節により変動あり)
定休日 無休
駐車場: 共用50台
交通: JR大糸線信濃大町駅から扇沢駅前行きバスで13分、大町温泉郷下車すぐ
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