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日本百名山

第12回 甲斐駒ヶ岳 仙丈岳 日本百名山

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東京から山の国甲斐を貫いて信州に行く中央線。私たち山岳宗徒にとって最も親しみ深いこの線路は、いったん甲府盆地に馳せ下った後、今度は釜無川の谷を左手に見おろしながら、信州の方へ喘ぎながら上って行く。さっきまで遠かった南アルプスが、今やすぐ車窓の外に迫ってくる。甲斐駒ヶ岳の金字塔が、怪異な岩峰摩利支天を片翼にして、私たちの眼をおどろかすのもその時である。汽車旅行でこれほど私たちに肉薄してくる山もないだろう。釜無川を距てて仰ぐその山は、河床から一気に2千数百メートルも突きあげているのである。

日本アルプスで一番代表的なピラミッドは、と問われたら、私は真っ先にこの駒ヶ岳をあげよう。その金字塔の本領は、八ヶ岳や霧ヶ峰や北アルプスから望んだ時、いよいよ発揮される。南アルプスの巨峰群が重畳している中に、この端正な三角錐はその仲間から少し離れて、はなはだ個性的な姿勢で立っている。まさしく毅然という形容に値する威と品をそなえた山容である。

日本アルプスで一番奇麗な頂上は、と訊かれても、やはり私は甲斐駒をあげよう。眺望の豊かなことは言うまでもないとして、花崗岩の白砂を敷きつめた頂上の美しさを推したいのである。信州ではこの山を白崩山と呼んでいたが、その名の通り、遠くからは白砂の峰に見えるのである。私が最初にこの峰に立った時は、信州側の北沢小屋から仙水峠を経、駒津峰を越えて行った。六方石と称する大きな岩の傍を過ぎると、甲斐駒の広大な胸にとりつくが、一面に真っ白な砂礫で眼映ゆいくらいであった。9月下旬のことでその純白のカーペットの上に、所どころ真紅のクマコケモモが色彩をほどこしていて、さらに美しさを添えていた。ザクザクと白い砂を踏んで、頂上と摩利支天の鞍部へ通じる道を登って行くのだが、あまりにその白砂が奇麗なので、踏むのがもったいないくらいであった。南アルプス中で、花崗岩の砂礫で美しいのは、この甲斐駒とお隣の鳳凰山だけである。

頂上に花崗石の玉垣をめぐらした祠のほかに、幾つも石碑の立っているのをみても、古くから信仰のあつかった山であることが察しられる。祭神は大己貴命で、昔は白衣の信者が登山道に続いたものだという。その表参道ともいうべきコースは、甲州側の台ヶ原あるいは柳沢から登るもので、両登山口にはそれぞれ駒ヶ岳神社がある。この二つの道は、山へ取りかかって間もなく一致するが、それから上、頂上までの道の途中に、鳥居や仏像や石碑が点綴されている。(後略)

※出典:深田久弥『日本百名山』(1964年新潮社刊)の朝日文庫版から再録

よりみち百名山

見

野鳥のさえずりが降り注ぐ森の蒸留所

電話:0551-35-2211

サントリー白州蒸溜所/北杜市

甲斐駒ヶ岳山麓の花崗岩層によって濾過された、ミネラルバランスのよい天然水が豊富にわく北杜市白州町。アカマツ、ナラ、クヌギなどの樹林に囲まれた冷涼多湿な気候も、ウイスキー造りには欠かせない条件だ。

1973(昭和48)年に誕生した「サントリー白州蒸溜所」は、森の中に立つ世界的にも珍しい蒸溜所。モルト(麦芽)造りから貯蔵までの一貫した生産体制が特徴で、申し込めばウイスキーや天然水の製造工程がガイド付きで見学できる。

ウイスキー造りの道具の変遷をはじめ、懐かしい宣伝CMやポスターが見られるウイスキー博物館

ポットスチルと呼ばれる蒸留釜の使い分けや、加熱の仕方ひとつで、出来上がるモルトウイスキーの性質が変わるというデリケートな蒸留工程は必見。野鳥のさえずりを聞きながら、25万坪に及ぶ広大な敷地内を散策するのもいい。

形の異なる蒸留釜(ポットスチル)を用いて、各種の原酒を造り分けている
「ウイスキーガイドツアー」「天然水ガイドツアー」はそれぞれ所要時間60分。工場見学と試飲ができる
所在地: 山梨県北杜市白州町鳥原2913-1
営業時間: 博物館:9時30分〜16時30分(16時まで受付) 天然水工場ガイドツアー:10時45分〜15時15分(1時間ごと)ウイスキーガイドツアー:10〜15時(1時間ごと)
定休日: 年末年始(臨時休業あり)
料金: 無料
駐車場: 200台
交通: JR中央本線小淵沢駅から車で10分

泊

広大な森の中で天然温泉が満喫できる

電話:0551-36-6111

スパティオ小淵沢/北杜市

甲斐駒ヶ岳を望む八ヶ岳南麓の森に包まれた広大な敷地に、宿泊温泉施設「スパティオ小淵沢」がある。外来入浴での利用ができる日帰り温泉「延命の湯」の泉質は、1500メートルの地下からわき出る約60度のナトリウム―塩化物泉。大浴場には南欧の建築物をイメージした円柱形の柱が立つ。ヤマボウシなどの樹木に囲まれた露天風呂は、四阿風の屋根が付いた岩風呂。自然を満喫しながら、心身をリフレッシュできると評判だ。ホテルには宿泊者専用の内湯「あかまつ」もある。

客室は洋室、和洋室、和室の3タイプ。どの部屋も、採光に配慮した広々とした空間で、入浴後のひとときをゆったりと過ごせる。夕食は予約時に中華、和食のどちらかが選べる。

アカマツなどの林のなかにホテル、日帰り温泉、道の駅が並ぶ
「延命の湯」の露天風呂
全23室ある客室はゆったりと広い
所在地: 山梨県北杜市小淵沢町2968-1
営業時間: 外来入浴:10〜24時(23時まで受付)F第1月曜(外来入浴)
料金: 1泊2食付1万1700円〜、外来入浴600円(夜間は400円)
駐車場: 200台
交通: JR中央本線小淵沢駅から車で5分

食

オオムラサキが舞う高台のレストラン

電話:0551-32-7390

トラットリア・イル・ポルトローネ/北杜市

森の中の小さなレストラン「トラットリア・イル・ポルトローネ」は、ハーブ、ズッキーニ、ベリー類などを自家栽培するオーナーシェフ・前田精郎さんの店。肉は地元の甲州地鶏を使うなど、食材選びにこだわりを見せる。

生ハムや2種のデザートもおいしい「ズッキーニとパンチェッタのトマトスパ」(1200円)

ランチメニューの「ズッキーニとパンチェッタのトマトスパ」は絶品で、白ワインがパスタと素材のおいしさを引き立てる。目の前には富士山や甲斐駒ヶ岳が見渡せ、ぜいたくな展望も味わえる。

高台にあるレストランからは富士山も見える
周辺の林の中でオオムラサキの姿を見ることもある
所在地: 山梨県北杜市長坂町中丸1726-1
営業時間: 11時30分〜14時30分(ラストオーダー14時)、18〜22時(ラストオーダー20時)
定休日: 火、水曜(3月21日〜11月19日)、それ以外は月〜金曜
駐車場: 10台
交通: JR中央本線長坂駅から車で5分
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