朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ヘルプ

  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

地球発

2010年1月23日朝日新聞夕刊紙面より
  • ページ1
  • ページ2
事件現場は「日本一長い」天神橋筋商店街のすぐ近くにある=大阪市北区、高橋正徳撮影

記者、カメラマン約30人のいる前で襲撃犯は部屋に侵入した。外から室内の様子は分からなかったが、異常な物音や声がした。割れた窓ガラスの間から入れられ、ファインダーを見ずに撮影されたカメラは、豊田商事の永野一男会長が刺される様子を収めた。犯人が浴びた返り血がお茶の間のテレビに映された。

悪徳商法とされた同社の中心人物への強制捜査を警戒していた報道陣だった。朝日新聞6月19日付朝刊は「私たち(現場の記者)には2人は素手にみえた。談判に来た、という印象だった」と伝えた。報道各社には「止められなかったのか」という批判が相次いだ。

殺されるなんて。京都市消費者センターの消費生活相談員を務めていた松本久美子さんはショックを受けた。殺人の衝撃と同時に、お客の預け金が返ってこなくなるという不安が募った。つぶすしか被害を食い止められないと考えていた会社だが、会長の突然の死は財産流失を招く――。

センターや京都弁護士会に豊田商事のお客から相談電話が殺到した。

松本さんは76年に相談員となった。82年から「豊田商事てトヨタ自動車系列の会社ですやろか」などの電話相談が増えた。83年5月、悪質性をはっきりと示す相談が来た。

左京区で生活保護を受けながら1人で住む90歳の女性の郵便貯金30万円を、豊田商事のセールスマンが女性の印鑑を使って引き出した。「銀行利息より有利な預かり金を毎年払う」「金(きん)は値上がり確実」と言われ、印鑑を預けてしまった女性は寝たきり。葬式代としてようやくためた30万円を手放し、「純金代わり」として受けとったのは契約証券という紙切れ1枚だった。

松本さんの主張もあって京都市が初めて被害救済に乗り出し、お金は返還された。

あのとき

「金」で誘うペーパー商法、被害1000億円超

1985(昭和60)年6月18日午後4時半ごろ、大阪市北区のマンション内の豊田商事・永野一男会長(当時32歳)の自宅に鉄工所経営者(同56歳)とその元従業員(同30歳)が侵入し永野会長を銃剣で刺殺した。2人はそれぞれ10年、8年の懲役刑になった。

同商事は81年から大阪を拠点とし、「金(きん)を売る」契約でお金を得ながら「ファミリー契約証券」という紙切れだけ客に渡すペーパー商法で主に高齢者から約2000億円を集めた。強引な手口が国会でも論議されたが行政の対応は遅れ被害額は同商事破産(85年7月)後の届け出債権額で1150億円(届け出被害者2万9千人)。管財人弁護士団が回収に奔走したが被害者に戻ったお金はその1割強だった。

次のページへ
バックナンバー

関連ページ

画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Firefox1.5以上、Macintosh Safari 1.3以上、Firefox1.5以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。