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Vol.12 週末アジアで国境を歩いて越えたい(1)
国境を歩いて越えたい──。あこがれだった。島国に生まれ育ったから、ここが国境という境界を目にしたことがなかった。まだ大学生だった頃、タイとビルマ(ミャンマー)の国境まででかけた。現地の人は平気で越えることができるのに、僕は止められた。国境というものの迷路に迷い込み、以来、いくつもの国境を越えた。
アジアにはきちんと歩いて渡ることができる国境は多くない。橋を歩くだけという国境もある。バスが国境ぎりぎりまで到着するところもある。専用のバスに乗らなければ渡れない国境もある。国と国。この不可解な環境をかみしめるように歩いて渡る国境を、また歩いてみたい……。
ベトナムから中国に入る国境を選んだ。以前、逆ルートで越えたことがある。国境の山にトンネルが掘削されている途中だった。この国境も歩いて越えることが難しくなっていくかもしれない。そんな思いを抱きながら、金曜日の便でベトナムのハノイへ。国境手前のドンダンという街までは、窓の開く鈍行列車で向かうことにした。
ハノイのザーラム駅を発車するドンダン行き列車は、1日1便。午前6時発。ハノイのロンビエン駅を午後1時55分に発車する列車もある。日本からハノイに行く場合、ロンビエン駅発の列車に間に合うフライトはない。ハノイ1泊の日程になる。日本からはベトナム航空のほか、大韓航空、チャイナエアラインなどの乗り継ぎ便も利用できる。

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年生まれ。「12万円で世界を歩く」(朝日新聞社)でデビュー。おもにアジア、沖縄をフィールドに著書多数。近著に「『格安エアライン』で個人旅行が変わる!」(講談社+α新書)、「鈍行列車のアジア旅」(双葉文庫)、「『生き場』を探す日本人」(平凡社)、「世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ」(新潮社)。


中田浩資(なかた・ひろし)
1975年生まれ。97年から99年の北京滞在中、通信社の写真記者として報道写真に携わる。2004年からフリーランス。旅行、人物ルポを中心に雑誌、広告などで活動中。
Hiroshi NAKATA website http://nakata-photo.jp/






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