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なにげないお出かけも、その道の「達人」と歩けば新鮮な冒険に。東京からぶらりと行けるスポットを達人のガイドで歩くシリーズ。第17回はもんじゃの老舗店主と歩く月島です。
鉄板で具材を炒め、ドーナツ状に整えてから真ん中に生地を流し込む。これを混ぜながら、小さなヘラ「はがし」でとってパクっ。
もんじゃは、不思議な食べ物である。
おやつのようなつまみのような、でも意外とボリュームがある。いつまでも固まりきらないその形状は、お好み焼き文化圏の西日本の方々には摩訶(まか)不思議に思えるようだ。
今回はそんなもんじゃを名物に町をもり立ててきた月島を散策。案内くださる達人は、月島もんじゃ振興会協同組合の副理事長で、人気のもんじゃ店「バンビ」店主の松井勝美さんだ。

地下鉄月島駅7番出口を出ると、火の見櫓(やぐら)をかたどった道標。ここから伸びる西仲通りが「月島もんじゃストリート」だ。アーケードの入り口には地図やグッズをそろえた案内所があり、ビジター対応も万全。ここで松井さんと待ち合わせ、まずは町の散策へ。
「昔は近くでアサリがとれたし、潮干狩りもしたなあ」
「ひ」と「し」の発音がちょっぴりあいまいな松井さんは、父親が佃生まれ、自身は月島生まれという下町育ち。
「晴海のあたりはなーんにもなくって、コガネムシやバッタを捕まえに行ってたんだよ。大きな船が通行してたから、川岸にあったのは、倉庫や工場ばっかりだったな」
そんな隅田川河口の風景が大きく変わったのは、松井さんの印象では東京オリンピックがきっかけだった。
「ほら、ここからどっちのタワーも見える」
西仲通りを西に2ブロック歩くと、隅田川にぶつかる。かつての「月島の渡し」の地・児童遊園から土手に上ったところがビューポイントだ。左手には勝鬨橋(かちどきばし)越しの東京タワー、右手には佃大橋越しのスカイツリー。
佃大橋は、昭和39年の東京オリンピックに向けて造られた橋。お隣の勝鬨橋は、時間になると橋を跳ね上げ大型船舶を通す要所だったが、昭和45年に跳開(ちょうかい)がとりやめとなる。これを機に界隈(かいわい)の大型船舶は姿を消し、同時に造船工場や倉庫も河口に近い豊洲方面に移動していった。
昭和63年に有楽町線が開通すると、月島は銀座から5分で行ける場所となり人通りが格段に増えた。さらに同時期に着手された佃の超高層マンション・リバーシティは、新しい住人たちを引き寄せた。街は賑(にぎ)わいをみせ、西仲通りのアーケードも、そのころにはできていたという。
川岸の遊歩道にはジョギングに犬の散歩と、遊歩道を行き交う人の姿も多い。冷たい川風も心地いい。
「昔はここがデートコースだったとか?」
「倉庫ばっかりで土手なんかなかったよ。銀座、銀座だよ」
対岸は築地、そこから銀座までほんのひと息。下町の少年少女たちは、隅田川を渡って銀座で恋を語っていたのだ。

土手を下りて佃に向かうと、住吉神社の鳥居が出現。佃はもともと、大阪・佃村周辺の漁民が徳川家康に呼ばれ移住したのが由来と伝えられ、この社も大阪・佃の田蓑神社の分社だ。今年お披露目予定の、八角形の豪華な神輿(みこし)も見学できる。ちなみにリバーシティの周辺は、石川島と呼ばれた江戸時代の埋め立て地で、無宿者や軽犯罪人を集めて力仕事をさせた人足寄場だ。これを提案したのが火付け盗賊改・長谷川平蔵。「鬼平犯科帳」の鬼平である。
参拝を終え、長屋が連なる路地を抜け、掘割にかかる赤い橋へ。
おお、いい眺め。高層マンションを背景に掘割、小船、銭湯の煙突。掘割の片隅にある泥地には、住吉神社の幟(のぼり)が埋まっているという。高さ20メートルを超える6本の大幟、八角神輿が佃ばやしで練り歩く3年に1度の例祭は、今年の夏に開催される。
祭りやイベントが多いのは下町のよさだが、「中央区/リバーサイド/高層マンション」に引き寄せられた新しい住人たちの理解を得にくいこともしばしばだ。
「イベントがうるさい、って警察を呼ばれたりさ」
もんじゃが臭い、という苦情もあるのだとか。なかなか、苦労も多そうである。
さて、佃散策のラストは、お地蔵さま探訪。
幅1メートルもない路地の真ん中にある地蔵堂、中に入って驚いた。大人の一抱え以上あるイチョウの大木が屋根を突き抜けてそびえている。堂内は清められ、お地蔵様の周りには花がいっぱいだ。
街がどう変わっても、大切にしてきたものはそのまま残す。日本人のこんな姿勢が、街を守る力になっている。

月島は東京湾埋め立て1号地で、今もその番号が続いている。ではフジテレビのある「お台場」は何号地でしょうか?





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