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世界最長の山脈アンデスも、世界最大の熱帯雨林アマゾンもある、豊かな自然に恵まれたペルー。人々の生活には、身の回りに自生するハーブをお茶にしたり、食材として料理に使ったりする習慣が根づいている。乾燥させたものはもちろん、摘み取ったばかりの新鮮なハーブそのものから、ジャムや蜂蜜などのハーブ入り食品まで、市場やスーパーで売られている。ハーブの種類も加工の方法も、目を見張るほどに豊富だ。
そのひとつの例が、ペルー各地で飲まれているエモリエンテ。
往来で立ったまま温かいものをすする人々の姿は、首都リマのおなじみの朝の風景。リマっ子が手にしている飲み物が伝統茶・エモリエンテだ。大麦やスギナ、キャッツクローなどの薬草を煮出したものに、ザクロのシロップやレモンジュース、シナモンやマルメロ、アロエの葉のゼリー質の部分などを加えて作る。配合は、お客の好みや症状次第でなんとでもなる。風邪や二日酔い、胃もたれといった医者に診てもらうまでもない軽い不調なら、人々はかかりつけの屋台で「処方」されたエモリエンテを飲んで様子をみる。
もうひとつの例が、アンデスの山岳都市・クスコをはじめ、ティティカカ湖畔のプーノや隣国ボリビアの首都ラ・パスなどに住むアンデスの民が特に好んで飲むコカ茶である。かつてインカ帝国の首都だったクスコは、標高3400メートル。富士山よりも少し低いところにある。コカ茶は現地ではソローチェと呼ばれる高山病に効くと言われている。
コカ茶は一般的にマテ・デ・コカと呼ばれている。マテはアルゼンチンやウルグアイ、パラグアイではマテ茶のことだが、ペルー、ボリビアではハーブティー全般を指す。同じ南米大陸の中で、同じスペイン語を使っていても、ずいぶん違いがあるものだ。
作り方は、エモリエンテのように煮出さず、天日に干したコカの葉をカップに入れて熱いお湯を注ぐだけ。葉の枚数はお好み次第だ。ティーバッグのコカ茶もあるが、やや風味に欠ける。慣れるまではちょっと青臭く感じるかもしれないが、さっぱりとした口当たりのお茶だ。食堂で定食を頼むと、コカ茶が食後に出てくることが多い。喫茶店がまだ外国人観光客や富裕層向けであるペルーでは、庶民が外でコカ茶を飲むのはもっぱら食堂である。むしろ、家で飲むのがほとんどだ。





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