山や湖など美しい風景で名高いスイスだが、料理については意外と知られていない。スイス料理といって頭に浮かぶのは、チーズフォンデュくらいではないだろうか。そこで、スイス在住32年、チューリヒ近郊にスイス人のご主人と暮らしているスチューダー・洋子さんにスイスの名物料理について聞いてみた。スチューダーさんは、通訳ガイド歴25年、夏の観光シーズンには日本人観光客をスイス各地へ案内している。


「まず、チューリヒの名物といえば、チューリヒ風仔牛肉のクリーム煮(ゲシュネッツェルテス Geschnetzeltes)ですね。薄切りの仔牛肉とマッシュルーム、タマネギをホワイトソースで煮込んだ料理でシチューのような味わい。比較的あっさりしていて、日本人にも好まれるメニューだと思います。また、付け合わせとして出されることが多いレシュティ(Ro¨sti )は、細い短冊状に切ったジャガイモをお好み焼きのように丸くフライパンで焼いたものです」とスチューダーさん。
ツェルマットに代表されるヴァリス地方には、ラクレット(Raclette)という郷土料理がある。
「フォンデュと並ぶ有名なチーズ料理です。ラクレットチーズを溶かして丸ゆでしたジャガイモにからませて食べる冬の料理で、日本人にはチーズフォンデュよりもこちらのほうが断然おすすめです」とスチューダーさん。
ワインやビールの友として、また、前菜としてぴったりなのがビュンドナーフライシュ(Bu¨ndnerfleisch)。スイス最大の州グラウビュンデン名物として有名な干し肉だ。牛肉を塩水に漬けてからカチカチになるまで乾燥させ、スライサーで紙のようにごく薄くカットして食べる。


日本には季節ごとに味わうべき料理があり、食材によって季節の移り変わりを実感できるが、スイスにもまた四季を彩る味がある。
「春は、アスパラの季節。バターソースかマヨネーズあえでいただきます。4月から5月になると店頭に白と緑の大きなアスパラが並び始めます。これを見ると、あぁ春がきたんだな、と感じます。レストランでも、『今日は新鮮なアスパラあり』などと看板に書いてあります。この時期にスイスへいらしたらぜひ味わってみてください」とスチューダーさん。


「夏の味覚といえばサラダ。生ハムとメロンもおすすめ。秋は、狩りのシーズンです。 レストランの看板に『Wild』(ドイツ語)『Gibier』(フランス語)と表示されていると、秋の到来を感じます。狩りが解禁となり、野生のシカやイノシシ、ウサギなどの肉の煮込みが食べられます。特有の臭みがあるため、コケモモのジェリーかジャムが添えてあることが多く、少し甘く煮た栗や赤キャベツなどが付け合わせです」
冬は、日本と同様、スイスも鍋のシーズンなのだそうだ。
「チーズフォンデュをはじめとして、サイコロ状の牛肉を串刺しにして鍋で煮立たせたサラダオイルで揚げるミートフォンデュ(Fondue bourguignonne)、そして牛肉を鍋に熱したコンソメスープにくぐらせて食べるスイス風しゃぶしゃぶフォンデュ・シノワーズ(Fondue chinoise 中華風の意味)、ラクレットは冬の代表的な家庭料理。クリスマスから新年にかけてお客様を招いたときは、ミートフォンデュでおもてなしすることが多いですね」とスチューダーさんは言う。


日本ではあまり知られていないが、スイスは良質なワインの産地でもある。
「レマン湖畔とヴァリス地方が最も有名なワインの産地です。とくに白は、スイス名物のチーズ料理や生ハム、干し肉、湖の魚(ペルシュ)のフライといった料理に良く合います。スイスの白ワインは辛口なので、日本の冷酒の感覚で味わえて日本人には人気が高いんですよ」とスチューダーさんは語る。
ワインと並び、果実酒(シュナップス Schnaps)もおいしい。サクランボの蒸留酒キルシュ(Kirsch)、西洋梨のウイリアムス(Williams)は香りが良く、おすすめ。
ワインと果実酒はおみやげにもいい。そして、スイスみやげの定番といえば、そのクオリティーの高さで世界に知られるチョコレート。種類は多彩だが、スイスで1875年に発明されたという歴史をもつミルクチョコレートがやはり基本。ミグロ(Migros)やコープ(Coop)といったスーパーから老舗の高級店まで、さまざまな店でチョコレートを買って食べ比べてみるのも楽しい。スチューダーさんのおすすめは、チューリヒのシュプルングリ(Sprungli)の生チョコと卵白菓子のルクセンブルグリ、トイシャー(Teuscher)のシャンペントリュフだそうだ。
(更新日:2007年01月22日)

おすすめ最新ガイドブック!
櫻井寛氏が行くスイス3大急行の旅をはじめ、主要18カ所の展望台ガイドやおすすめ景勝ルート、主要鉄道&バス運行図、鉄道設備の徹底活用術などスイスの鉄道旅行術が満載。
地球の歩き方 BY TRAIN スイス鉄道の旅
Amazon.co.jpで購入
各地の見どころや展望台、ハイキングコースなどをフルカラーで紹介。さらに、個人旅行に欠かせない鉄道利用の方法やハイキングの基礎知識なども詳しく掲載。
地球の歩き方 A18 スイス
Amazon.co.jpで購入

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。