
有本 香(ありもと・かおり)
東京外国語大学卒業後、旅行雑誌編集長を経て独立。企画会社「ウィンウィン」を設立し、旅や食に関する雑誌や書籍の制作を中心に活動中。著書に「中国茶 香りの万華鏡」(小学館文庫)「中国茶・台湾茶」(池田書店)などがある。


今ではすっかり定着した中国茶。しかし、中国茶というと烏龍茶をイメージする人が多く、まだまだ奥深い世界はあまり知られていない。旅先で味わった中国茶に違和感を抱いたことがある人もいるのではないだろうか。
「日本人にとって最も好き嫌いが分かれやすいのは、プーアル茶ですね。飲んだ時にカビ臭い、泥臭いという印象をもたれがちで、ネガティブな反応を示しやすいお茶なのです」と有本さんは言う。
香港を訪れ、レストランで飲茶をした人ならプーアル(香港で話されている広東語ではポーレイ)茶を飲んだ経験がある方も多いことだろう。独特の風味をもつプーアル茶は血中脂肪酸を減らす効果があるとされている。
日本で広く飲まれている烏龍茶は青茶という種類に属し、プーアル茶は黒茶。中国茶はツバキ科の一種であるカメリア・シネンシスという植物から作られており、青茶も黒茶も、もとは同じ。
中国茶は、その製法によって、青茶(半発酵茶)、黒茶(後発酵茶)のほかに、緑茶(不発酵茶)、黄茶(弱後発酵茶)、白茶(微発酵茶)、紅茶(完全発酵茶)の6つに分類される。意外に思われるかもしれないが、紅茶も中国茶の一分類なのである。ちなみに、ダージリン、ウバとともに世界三大紅茶と数えられるキームンは中国安徽省で作られている。


「ふだんペットボトルの烏龍茶を飲んでいる日本人が台湾を旅すると、こんなに香り高いお茶だったのかと驚かれると思います。台湾系の烏龍茶というのは、発酵が軽くクセがあまりありません。香りがとても華やかで、こんなおいしいものだったのね、イメージがくつがえされた、と思う方は多いです」と有本さんは言う。
「烏龍茶に関していえば80年代から今日までの間に、中国茶の産地で大きな技術革新がありました。特に台湾は顕著で、近年、台湾の技術が中国大陸に持ち込まれるという非常に不思議な現象が起きています。今では、かなり広い範囲で台湾系烏龍茶の技術が席巻しており、そうやって作られた中国茶の多くが日本人の好みに合うんですね。日本茶とは全く異なる魅力をもつお茶として日本人に評価されているのです」
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