
ヨーロッパで音楽を鑑賞する前に、日本でしておくといい、下準備はあるのだろうか。坂本さんにアドバイスしてもらった。
「何の予備知識もなく聴くのもひとつの方法ですが、私はある程度の準備をしておくと、いっそう音楽に対する理解も深くなると思っています。例えばオペラ。言葉はわからなくても、物語の筋を知っていれば、今、どんなシーンなのか、どんな内容の歌を歌っているのかがわかるので、登場人物に感情移入できます。クラシック・バレエもそうですね。書店のバレエ・オペラ・音楽などのコーナーには、解説本が多く出ていますし、オペラをマンガにしたものも出ています。また、教会音楽を聴く場合も、ミサの典礼文などの日本語訳を読んでおくと、いっそう心に迫ってくるものがあると思います」
CDやDVDで予習しておくのもベターだと坂本さんはいう。
「ヨーロッパで生の舞台に触れるとき、やっぱり聴いたことがある曲が出てくるのは楽しいですし、日本のレコード会社から出たものなら解説がついていますから勉強にもなる。同じ演目でも、歌手、楽団、指揮者、収録場所などによって、まるで違います。同じものはひとつとしてない、といってもいいでしょう。どれを買うかはお好みですが、見当がつかない場合は、インターネットで売れ筋のものを探すか、クラシック売り場の店員さんに売れ筋のものを教えてもらうといいと思います」
坂本さんの場合、CDで勉強するというよりも、実際に自分で演奏して勉強した曲を、コンサートで聴くことが多いというが、感動の音楽体験は?
「留学先のバーゼル・スコラ・カントールのピアノの先生がショパンの幻想即興曲をやるというので、ルツェルンの街まで聴きにいったときのこと。あまりにも有名で、ある意味、通俗的だと思っていた曲だったのですが、先生の演奏を聴き、ゾクゾクするような衝撃を受けました。とにかく表現が深く、今まで聴いたものとまるで違うものだったのです。皆さんにもぜひ、そういう音楽体験をしてほしいですね」

(更新日:2006年10月04日)
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