
辻 啓一(つじ・けいいち)
1948年生まれ。一橋大学卒業後、ロータリー財団給費留学生としてフランス・グルノーブル大学に留学。77年、日本企業の駐在員として再渡仏し、以来フランスに在住。フランス写真家協会会員。著書に『パリの通りの物語』(中央公論新社)『フランスの「美しい村」を訪ねて』(角川新書)など。


パリ・リヨン駅からTGVに乗り、ディジョンまで1時間40分。ここは、その昔、国王と富を競うほどだったブルゴーニュ公が首都とした町。
ディジョンのすぐ南のマルサネーから50キロ余り南のサントゥネーまでの丘陵地帯は、ぶどう畑に覆い尽くされている。ボルドーと並ぶブルゴーニュワインを生み出す「黄金の丘」だ。
ディジョンから45キロのボーヌは、ブルゴーニュワインの中心地といってもいい。彩色瓦で美しい幾何学模様が描かれた屋根のあるオスピス・ドゥ・ボーヌで、毎年11月の第3日曜日にワインのオークションが開かれるのをご存知の方も多いだろう。


オークションが開かれるオスピス・ドゥ・ボーヌは、15世紀に開設された施療院。「貧しく身寄りの無い人々だけではなく、裕福な人も収容していました。そうした裕福な人々が遺言で、お世話になった施設にぶどう畑を始めとする寄進を行い、現在のオスピス・ドゥ・ボーヌの所有する広大なぶどう畑になったのです。プルミエ・クリュ(1級)からなるオスピス・ドゥ・ボーヌ銘柄が、そのオークションで競売にかけられるのです。その年のブルゴーニュワイン全体の価格の目安となる重要な行事です」。オークションには、残念ながら一般の人は入場できないが、有料の試飲会には参加できる。


「さらに町のあちこちにワインの看板を見かけます。ワインショップの他にも、「ネゴシアン」と呼ばれるワイン仲買人のカーヴ(酒蔵)では、入場料を払って試飲できるところもあります」。ひんやりとした地下蔵で年代物のワインを味わうのも、旅の土産話になりそうだ。「また、街のレストランで食事をしながら地元のワインを味わうのもいいでしょう。ブルゴーニュといえばエスカルゴが有名ですが、ジャンボン・ペルシエと呼ばれる、みじん切りのパセリの入ったハム、名物でおいしいですよ」と辻さん。
ボーヌは町並みも美しい。食事の後には、落ち着いた雰囲気の漂う小径の散策を楽しんではいかがだろうか。
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