「タイの人はマイペースで楽天的。無理して高給をかせいだり、人と競争してあくせくしたりするよりも、自分らしく楽しく暮らしたいと考えている人が多い気がします」
仏教の国・タイの国民性をそう語るのは、タイに駐在して3年目になる商社マンの河野通正さん(30)だ。

河野通正さん
1977年、東京生まれの30歳、独身。2001年三菱商事入社。語学研修でタイのチェンマイ大学で学ぶ。研修後トリペッチいすゞセールス社へ出向。タイでの生活は3年を超える。
快適、くつろぎを意味する「サバーイ」、あるいは、気にするな、何でもないと他人をいたわる「マイ・ペン・ライ」。そんなことばが、彼らの価値観やライフスタイルを現している。「現実的で地に足がついている反面、向上心や挑戦心を前面に出さないのですけれど、人生を楽しむことがとてもうまい国民なんです」。
河野さんはいま、出向先の日系自動車販売会社でマーケティングや商品企画に携わっている。タイに暮らし、タイ人と働くなかで実感しているのが冒頭の言葉なのだという。
とはいえ河野さん自身は、タイ人とは対照的な日々を送っている。
平日は早朝から夜遅くまでミーティング。土曜日は地方で開催されるイベント(いすゞショー)に立ち会うため、休日返上の日々。しかし、「車を通じた新しいライフスタイルを提案することで、タイの人々に今までにない喜びや楽しみを味わってほしい」と意欲を燃やしている。そう熱弁する河野さんの表情は生き生きしている。
商社は海外の諸国を相手に、たんにモノを売り買いしているだけではない。彼の地での仕事は、お互いの信頼を深め、あらたな雇用を生み出し、交流を加速させる。そうした経済活動が、その国を豊かにすることにつながってゆくのだ。
河野さんがかかわるいすゞショーは、タイ各地で10年近く続けられているという。このイベントは、子どもたちのダンスや歌のコンテスト、ゲーム大会、人気歌手のコンサートなどを中心に、出店も並ぶお祭りそのものだ。
タイを巡回しながら、年に約200カ所以上で開催され、大きな会場では1日に2万人もの参加者でにぎわう。タイの子どもたちは毎年、このイベントがまちにやってくるのを楽しみに待っている。そして、ダンスコンテストで、練習に練習を重ねた大人顔負けのパフォーマンスを披露するのだ。
「タイっ子は斜にかまえたところがなく無邪気ですね。ちょっとしたことに大喜びしてくれるので、こちらもやりがいがあります。それでいてコンテストでは審査員に『どうかできるだけいい点をください』なんて頼んだり、『今日の審査員はみなさんとてもきれいですね』なんて、大人びたお世辞を言ったりもするんです」。
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