タイ人は純朴であると同時に、ゲンキンで調子の良い一面も併せもっているという。
「仕事を依頼しても、『OKまかせておけ』と自信満々に引き受けておきながら、いつまでたってもでき上がらないことがあります」と、困ったような笑顔で話す。「高級な車や携帯電話を自慢する見栄っ張りなところもあります。でもそれはきっと、日本人のように相手からどう思われているかをあまり気にしない、タイ人の素直さの現れだと思います」
タイでは、月収約1万5千バーツ(約4万5千円)のごく普通のつつましやかな市民が、コツコツお金を貯めて、約60万バーツ(約180万円)の車を買う。電車やバスなどの公共交通機関が貧弱なタイでは、車は生活必需品。しかし、それ以上に、タイ人にとって車をもつことは大きなステータスなのだ。
タイを走る車の9割近くは日本車で、日本製の電化製品も普及している。ステータスの象徴である車、高性能な電化製品を生みだす日本人に、多くのタイ人は敬意を抱いているという。

「タイ人はとても親日的ですね。日本の歌手や漫画も人気があるし、日本食レストランも多い。バンコクは、世界でも際立って日本食のおいしい街だと思います。ここにいるとほとんど日本と同じ生活ができるので、日本が恋しくなることはほとんどないんです」
河野さんが暮らすスク厶ビット通りは、東京・恵比寿のようなしゃれた雰囲気の街。日本人の駐在員も多く、通り沿いには日本料理店や居酒屋、日本語書籍を扱う本屋が並ぶ。この通りに限らず、バンコクの街を歩いていると、日本のデパートやコンビニエンスストアなど、なじみ深い看板もよく見かける。タイに暮らす日本人は5万人以上ともいわれる。故国を遠く離れた日本人にとっても、ここタイは「サバーイ」な国なのだ。
「タイは自然が豊かで歴史や文化的な遺産が多い。そのうえ物価が安いので、セカンドライフを送る海外移住先としても人気ですね。経済的には貧しくても、家族や友人と会話や食事するだけで満ち足りているようなタイ人の生き方は、これまで仕事一筋で頑張ってきたような方に、新しい生き方のヒントを与えてくれる気がします」
こんなアドバイスをしてくれた河野さん。在住3年目という月日は、確実に、河野さんとタイの距離を狭めている。
(文・写真 関川隆)
(更新日:2007年04月07日)
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