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麗しロマン大陸 人ものがたり

私のかけがえのない時間 私のとっておきの「沖縄」よ!(前編)

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鮮やかなサンゴの色が抜け白くなり、その多くがやがて死滅する「サンゴの白化(はっか)現象」。1998年のエルニーニョ現象による海水温上昇などにより、世界各地でサンゴの白化が観測され、7.7万平方キロにも及ぶサンゴ礁が失われたという。

サンプル採取を行う、田邉さん

白くなるのはサンゴの色のもとである褐虫藻(かっちゅうそう)がいなくなるためで、共生関係にあるこの生物が消えると、サンゴは生命の危機にさらされる。主な原因は海水温上昇という説が一般的だが、紫外線やバクテリアも影響するという説もあり、メカニズムの全ぼうはまだ明らかになっていない。確かなことはサンゴの死滅がいまだに世界規模で続いていること、そして大気のCO2量を調整するサンゴの危機は、そのまま地球の危機であることだ。

沖縄の研究活動は、白化の原因解明とその防止技術の確立が主な目的。静岡大学、琉球大学、環境NGOアースウォッチ・ジャパンと三菱商事がそれぞれの立場で力をあわせ活動している。市民ボランティアが参加する実地調査の舞台は、沖縄本島の本部(もとぶ)に隣接する瀬底島の琉球大学瀬底実験所。プロジェクトを束ねるのは静岡大学創造科学技術大学院教授で、サンゴ礁研究の第一人者・鈴木款(よしみ)氏だ。

「生き生きとした海であること。これが、サンゴにとっては大事なんです」。実験の合間を縫い、鈴木教授はプロジェクトメンバーにブリーフィングを行う。考えられる白化の原因、今回の実験の意味、サンゴ礁に必要な栄養状態など、ボランティアスタッフにもわかりやすい言葉で、時にはそれぞれの専門家の意見を求めながら解説していく。

鈴木教授のブリーフィング。サンゴ研究の第一人者から直接話が聞ける貴重な時間

「あらゆるCO2対策に必要なのは、スピードです。われわれがいま、不安を覚えているのは、どこで何が起きてもおかしくない状況であるため。だから急がないといけない」。海水温上昇によるサンゴの死滅、海の酸性化による危機、さまざまな予測が研究者によって立てられているが、すべてはシミュレーションで実際にどこで何が起こるのかがわからない。プロジェクトに市民ボランティアを受け入れるのは、自然を見る感性が育ってほしい、という願いがある一方、どれほど未知のことが多いか、何が起こっているのかを目にしてほしいという気持ちもあるという。

「(プロジェクトの)目標は2つあります。ひとつはもちろん、白化の解決への道筋をつけること。もうひとつは、理解できる人たちを増やし育てていくことです」

夕食ミーティングにて。ひとりひとりが、プロジェクトへの思いを語った

「沖縄に関して、本当に何も知らないことを思い知りました」。夕食をかねたミーティングで、田邉さんはそんな感想を漏らした。排出権ビジネスなど、環境にかかわりのある仕事経験が豊富な彼女だが、それはあくまで書類上のこと。環境にかかわりのある実感が伴う体験を、と考えたのが今回ボランティアに志願した理由だ。実験の多くが人力に頼っていること、浅瀬にもたくさんの生き物がいること、沖縄の海の埋め立ての実際、そしてサンゴの白化……。すべてがはじめての体験と知識。異なる立場の人々が同じ目的のもとに集まる場、こうして語り合うのも得がたい体験だ。

「それぞれの専門や知識は関係ないんです。お互いを尊重しながら、みんなで自然に立ち向かおうとする姿勢、生きがいをもって楽しくやる姿勢が大切だと思っています」。鈴木教授の言葉に全員がうなずく。

沖縄のサンゴを守るために何ができるのか。観光地としてもっとマネジメントできないか。ダイバーたちにもっと訴えることはできないのか。テーブルに置かれた泡盛の勢いも手伝って、その夜、メンバーたちの議論はいつ果てるともなく続いていた。

(文・写真 山田静)

(更新日:2007年07月07日)

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