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麗しロマン大陸 人ものがたり

私のかけがえのない時間 私のとっておきの「沖縄」よ!(後編)

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「こっちですよー」

早い、早い、着いていくのが精いっぱいだ。20名近くのメンバーを引き連れたおじいは、海の説明をしながらぐいぐいと岩場や浅瀬を進んでいく。

田邉尚子さん

1969年生まれの38歳。1991年三菱商事入社、2000年から事業開発部(現地球環境事業部)で主として排出権ビジネスに携わる。2007年4月からはイノベーション事業グループで社内の新規ビジネス開発支援業務に取り組んでいる。

もずくやウニなど、おじいが次々見せてくれる珍しい生き物に、田邉尚子さんらサンゴ礁保全プロジェクトのメンバーはひざまで海に浸かりながら子供のように歓声を上げている。ふと、おじいが足をとめた。

「これが泥の汚れです。前はこんなものはなかった。これだとサンゴの卵が付着できないと思うんです」

手にしたつえでがりがりと岩をこすると、泥が落ち岩肌が現れる。昔はこの周辺は見渡す限りの枝サンゴが広がる地帯で、よけながら歩くのが大変なほどだったという。

昨晩、夕食の席でのことだ。メンバーが滞在する宿のご主人である77歳のおじい・熊本進さんが宿のある備瀬(びせ)の海について語った。本部半島の最北端に位置する備瀬は透明度の高い海が人気だが、「海は変わりました。サンゴを、自分が生きている間に復活させたいです」と熱心に語る。

(右)おじいの案内で岩場を歩く(左)「これが泥の汚れです」。削ると泥は落ちる

30年前、大規模に痛んだサンゴがその15年後にいったん復活し、一時は一面の枝サンゴが見られたがやがて再びだめになってしまったこと。浅瀬の岩には昔なかった汚れが見られること――。

いまも毎日畑仕事をし、海に出るというおじいは、自分では木を1本切ったら3本植えると決めている。それだけに、除草剤などを使いながら開発が進められている沖縄の海の危機を、せっぱ詰まったものとして感じているようだ。

快晴に恵まれた今日、メンバーはおじいの案内で浅瀬を見に行くことにした。

「これは孫が好きな貝だから、必ず拾うことにしてます」

おじいの語る海は命の力に満ちていた

今度は、緑色の体が珍しい貝を拾った。おじいは、歩きながらも海草や貝を手にしては、これは食べられる、これはだめとひょいひょい分別していく。われわれからすると、いまでも海は十二分に透明度が高く生き物も豊富だが、昔はもっといた、という。鈴木教授の「生き生きとした海」という言葉を思い返す。「そしゃくしてみて、のどに自然と入っていくものは食べられるものです」独自の食べ物の見分け方理論に目を白黒していると、「海があれば、おじいは食べるのに困ることはないです」だから、海が戻らないと困ります、と、にっこり笑った。

帰路、シュノーケリングをしながら戻ったメンバーのひとりからこんな話を聞いた。「海底に白いサンゴがずっと続いているんです。魚もいないし、言葉にならない情景でした」目の当たりにした白化の深刻さにショックを受けた様子だった。

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