最終日の朝。一同の姿は、本部の「美ら海水族館」にあった。「おかげさまで、海水だけはいっぱいありますから」と館員が冗談交じりで案内してくれるのは、サンゴの水槽や飼育槽だ。

水族館名物のひとつ、3百立方メートルのサンゴの大水槽は、本部の海水と自然光を利用しながら5年あまりの歳月をかけ育てたもの。小さな飼育槽が並ぶ別棟を訪れると、メンバーからため息が漏れた。白化のきざしもない色とりどりのサンゴが日光に照らされ輝くような色彩を放ち、カラフルな熱帯魚やウニが水槽内で水質をきれいに保つ手助けをしている。
「いろいろ試しているんですが、今のところ、生き物とサンゴのバランスはこれくらいがちょうどいいようです。うまくバランスがとれると水槽の掃除も楽なんですよ」
おじいの言う「昔の海」はこういうものだったはず。ここでも、「生き生きとした海」を取り戻す努力が日々積み重ねられているのだ。
この 5 日間を、田邉さんは「得るものがたくさんありました」と振り返る。「今までの知識は、新聞の大見出しだけ見ていたようなもの。その後ろ側が見えていませんでした」
赤土の流出やリゾート開発など、サンゴの白化に人為的な影響があるのを知ったことも 印象に残ったという。いっぽうで、実験に取り組む研究者たちの姿を見て、時間の大切さも感じた。専門家たちはサンゴの研究が時間との勝負であることを知っている。毎日が、サンゴの、そして地球の生存を賭けた戦いの時間なのだ。「自分も、与えられた時間を使って、自然のすばらしさや寛容さを発信していけたらと思います。そして、人ってあったかい、ということも」

出会った人のあったかさや優しさは、特に印象に残ったこと。なので今回の体験を漢字で表すと「和」だという。「人や自然を助ける「和」の大切さを改めて感じました。沖縄についても、「和」と表現したいです。必要最低限のものを自然からもらい、あまったら自然に帰す。調和と共存を考えている人が多いように感じました。自分も、自然の邪魔にならないように生きていきたいですね」
何よりも、ここで出会った仲間たちと一緒に活動し、夜通し語り合った思い出は代えがたいものです、と語る目には、ちょっぴり光るものがあった。
(文・写真 山田静)
(更新日:2007年07月17日)

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