「初めて、ロンドンのことを考えた気がします」
終了したところで佐藤さんに改めて感想を聞いた。
緑が多くて、一流の文化が身近にあって、最先端の仕事が出来て、欧州諸国に気軽に行ける便利さ。それが彼女にとってのロンドンの魅力だった。だが今日目にしたのは、それとは別次元の姿。

「自分にとってビッグベンと国会議事堂、そしてテムズ川の3点セットは、ロンドンの象徴。なので逆にあまり深く考えたことも、接したこともなかったのかもしれません」
テムズの泥に触れ、ボランティアと行動を共にしたことは印象深い体験だったようだ。
「若い人たちが来ているのがいいですね。みな、気軽に来ているように見えます」
参加者はふらりと立ち寄ってごみを拾い、疲れたら勝手に帰る、といった様子で、日本の同種のイベントよりも気楽な雰囲気だ。汚い、疲れた、という感想も隠さないし、それをジョークにもしている。佐藤さんの同僚たちも同じだ。

「去年も来たんだよ。楽しいかって? これが終わったら、楽しくなるよ」
「僕も去年から2回目。エンジョイなんてしてないよ。社会のために、かな」
来年はもう来ない? と問うと、
「来るだろうなあ。これが終わると、ふだんの暮らしが楽だなって3日間くらい幸せなんだ」
英国人らしいジョークで切り返してきた。
「(在住の)日本の人たちも、もっと来るといいですよね。ロンドンに楽しませてもらっているんだから、もっと恩返しすればいいのにな、と思います」
面白かったから来年も来たい、と語る佐藤さんの笑顔の背景には、対岸に広がるグリニッジが見える。海軍の拠点で、標準時となる天文台があったことで知られる歴史ある地。今日の活動も、また、語り継がれる歴史のひとつとなるだろうか。
「今朝の重労働から、すでに若干筋肉痛ですがなんだかロンドンがますます好きになり、とても晴れやかな気持ちで仕事・業務にも臨むことができています。」
取材からの帰国翌日、佐藤さんからはこんなメールが届いた。

(文・写真 山田静)
(更新日:2007年11月03日)
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