「ジュニア・アチーブメント」という活動を耳にされたことがあるだろうか。
1919年にアメリカで発足した経済教育団体が行っているもので、社会や経済の仕組みを青少年に伝え、将来設計の助けとなるよう支援するのが主な目的。世界120カ国に拠点を置き、毎年450万人の青少年が利用しているという大規模な活動である。各地の企業や自治体がプログラム作成にボランティア協力しているため、青少年たちは生きた経済活動をプロの目線から学ぶことができる。一方で企業や自治体にとっては、未来の人材育成のチャンスともなる。

アルフレッド・ウルダネータさん
1992年三菱商事入社の43歳。現在ベネズエラ三菱商事エネルギー部副部長、およびビジネス・デベロップメントチーフを勤めている。2003年よりジュニア・アチーブメントの活動に参加。
地球儀で眺めると日本のほぼ裏側・カラカスでこの活動に積極的に取り組むベネズエラ人がいる。ベネズエラ三菱商事に勤務するアルフレッド・ウルダネータさん(43)だ。
「じゃあ誰か授業の内容を説明してくれるかな?」
ハイ! ハイ!
取材班の質問に一斉に手が挙がる。
「石油の利用法などについて学び、それをどう人に伝えるのかを学びました」
「プレゼンテーションの方法です。どうやって自分の気持ちを届けるのか、などです」
はきはきと説明できた生徒には周囲から拍手が贈られる。ウルダネータさんも満足げだ。
訪れた公立学校の教室には、17歳から18歳の生徒たち二十数名が目を輝かせ待ちかまえていた。

会社ではエネルギー部門の副部長を勤めるウルダネータさん。三菱商事はカラカスでのジュニア・アチーブメントに2003年から参画し、4割近くの社員がのべ400人ほどの子供たちに授業を実施してきたという。彼が主に教えてきたのは専門分野である石油について、さらにそれを人に伝えるプレゼンテーションの方法などだ。まじめな顔で生徒の質問に答える彼は、商社マンというより学校の教師のように見える。

一段落したところで、生徒たちに将来の夢を聞いてみた。
「ジャーナリストになって世界を見てみたい!」
「最初は不思議でしたが、今は理解できたように思います。敵は自分のなかにいるんです」
「デザイナー! ブランドデザイナーになるの!」
女の子がひときわ大きな声で、
「教育の仕事! 教育は国の成長の基本なんです」
きっぱりと答えると、笑いと拍手が沸き起こる。
逆に彼らからも質問が矢継ぎ早に飛び、英語が堪能なスタッフは、日本のお茶文化について問い詰められ目を白黒させている。撮影の合間にも、われ先に話しかけてくる。
「今日は来てくれてありがとう!」
「言葉をもっと学びたいんです。もちろん、日本語も」
彼らの全身から、きらきらした夢や希望がこぼれおちてくるようだった。

「彼らは本当にうれしかったんですよ。いつか海外に出てみたいと思っていても、チャンスは少ないと感じている。日本のことはアニメなどの文化や日本食で知っているし、いい経験だったでしょう」
翌日、ウルダネータさんは振り返った。「教えてあげることは好きですし、プログラムに参加できることを誇りに感じています」
彼がそう感じるのは、この地の経済状況によるところも多い。

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