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麗しロマン大陸 たいむトラベラー

都市とまちを訪ね歩く ほほ笑みの国「タイ・バンコク」の歴史に触れる(後編)

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タイは古くから、あらゆる異文化を寛容に受け入れてきた国だ。今でも寺院や街には、中国やインドなどの影響をたやすく見つけることができる。日本との交流も古く、江戸時代にはアユタヤに日本人街があったことは有名だ。

ワット・アルン

アユタヤ時代に建立された「ワット・アルン」は、かつてエメラルド仏がまつられていた寺で、三島由紀夫が小説「暁の寺」の題材にしたことでも知られる。わたしは土色をしたチャオプラヤー川を船で渡り、俗界の向こうにある聖地のように燦然と輝く「ワット・アルン」へと向かった。

間近で見上げる仏塔は、遠くから見るのとはまた違い、迫力があった。陶器の破片をモザイク状に埋め込んだ、精緻(せいち)な装飾もすばらしい。この仏塔はヒンドゥー教の聖地をかたどったものであり、装飾に使われている陶器は中国製だという。

中華街

中国がタイに与えた影響は大きく、喧騒(けんそう)に満ちた「中華街」は、バンコクの活気が最も感じられる場所だ。今は巨大な門が出来上がり、中華街の幕もはためくようになったが、以前のこの街はもう少し地味だったという。ただ、見方を変えれば、それだけこの国に溶け込んでいたということでもある。

中華街の一角にある「ワット・ラーチャブラナ」には、金閣寺を模した納骨堂があった。ここでは在タイ日本人のために、宗派を問わず日本式の葬儀や供養が行われてきた。中華街にあるタイ仏教の寺に、日本人納骨堂があるというのが面白い。

異文化の文物が交叉するタイを知るうえで、欠かせないのが市場だ。

エラワン・プーム

迷宮のように広大な「チャトゥチャック市場」は、ぶらりと歩いているだけで一日は過ごせる楽しい場所だ。強烈な香りと色彩を放つ熱帯のフルーツや花、屋台に並ぶ豊富な食材。ここを歩いていると、あくせく働かなくても食べてこられたこの国の豊かさを実感する。

西欧人や日本人が多く住み、路地を入ればインド人街やアラブ人街もある「スク厶ビット通り」、最先端のショッピングセンターやブティックが並ぶ「サイアム・スクエア」周辺にも足を延ばしてみた。近代的なビルのすそ野に並ぶ猥雑な屋台。ハイセンスなホテルの前に祭られたヒィンドゥーの神様に、祈りを捧げる人々が絶えない「エラワン・プーム」。東西、新旧、聖俗が渾然(こんぜん)一体となったこの都市の魅力は尽きない。

「バンコクは、もはやタイではない」という声も聞く。しかし、この国際都市の懐は、とてつもなく深い。あらゆる文化を寛容に受け入れてきたタイの現在、そして未来は、まぎれもなくこの都市にある。

(文・写真 関川隆)

(更新日:2007年04月27日)

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