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麗しロマン大陸 たいむトラベラー

伝統と革新の「ロンドン」スタイル(後編)

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小雨がぱらつく中、取材最終日はテムズの川風に吹かれながら岸辺を散歩した。水辺には観光船がつながれ、向こう岸には中世風の建物、少し離れたところにはビッグ・ベン。

ミレニアム・マイルは散策するだけで楽しい

「ディズニー・シーみたいですね」

間抜けな感想をもらすと、同行の英国人に苦笑された。

ミレニアム・マイルと名づけられたこの道は、新しい観光エリアとして人気のテムズ川南岸に伸びる遊歩道。ロンドン橋からスタートすると、途中には倉庫を改造したしゃれたレストラン群、シェイクスピア劇で知られるグローブ座、現代美術の粋を集めたテート・モダン美術館など見どころが点在。対岸には近代建築が立ち並ぶビジネス街・シティも見える。脈絡がないようで全体に調和がとれた景観の美しさは、ヨーロッパならではの都市デザインの妙だと思う。

休日は乗るのに1時間待ちというロンドン・アイ

この日のゴール、ロンドン・アイに着いてみると長蛇の列。高さ135メートルの大観覧車は、国会議事堂の対岸という設置場所から景観破壊を心配する声も多かった。だが2000年にオープンするや連日の大盛況、いまやこのまちの「顔」のひとつ。少し晴れ間が見える空に、メタリックなフォルムがきらめいていた。

最近、ロンドンの近代建築探訪が観光客の人気を集めている。今回テムズ川の清掃をしたドッグ・ランズ一帯と、シティと呼ばれるビジネス街がその中心地。ぴかぴかとガラスが光る真新しいビル、広くまっすぐに伸びる道路は、一瞬ここがロンドンであることを忘れそうになるが、見上げるとそこには古びた寺院のドーム屋根が重厚な存在感でそびえ立つ。

2012年のオリンピック開催を控え、ロンドンは好景気に沸いている。ビジネス街を中心に各所でクレーンが動き、何かの工事が行われている。ヨーロッパの古都でここまで大規模な工事が行われているのには、意表を突かれた思いがした。

ウサギやキジなどの野生動物料理もイギリス料理の定番
オリーブもさまざまな味がある

いまのロンドンを知るのに、もうひとつぜひ行きたい場所があった。「バラ・マーケット」、金・土曜に開催される、オーガニック製品を扱う市場だ。

「ロンドンの野菜って、1カ月おいても腐らないこともあるんです」

在住日本人がそっと教えてくれた。農薬に比較的無頓着で、家庭はもちろん給食にも加工食品、冷凍食品が大量に使われていたロンドンの暮らし。数年前に登場したカリスマ・シェフ、ジェイミー・オリバーが自身のテレビ番組でオーガニック食品やハーブを積極的に使ったのがひとつのきっかけとなり、いまやロンドンのスーパーや市場には、「オーガニック」の文字があふれている。最近ではチャールズ皇太子が始めたオーガニック食品ビジネスも大当たり、注目度がさらに高まっている。

市場に一歩入ると、そこにはモノがあふれていた。

手前の草はジュースにして飲むそう。健康食品です

美肌効果が日本でも人気のアルガンオイル、色とりどりのオリーブ、大きなチーズに甘そうなケーキ、カラフルな果物にハーブオイルに植木に花に肉に野菜、もちろんすべてがオーガニック。点在するイートイン・コーナーにも「オーガニック・コーヒー」「オーガニック・ジュース」の文字が躍る。聞けば野菜はさほど価格は変わらないが、肉や魚は通常より割高。それでも、どの店も盛況で、まとめ買いする人々の姿も目立つ。7〜8年前からオーガニック製品を扱い始めたこの市場、今も拡大を続けているのだとか。前編でも触れたように、失礼ながら食へのこだわりが薄く見える英国人だが、オーガニックに関しては別。ここにこだわるのは、ひとつのスタイル、意思表明なのだ。

撮影した店ですすめられるまま、オリーブを数種、つまんでみた。ハーブの香りが口いっぱいに広がり、レストランで供されるものよりははるかに味が濃い。笑顔を返すと、アラブ系の風貌をした店員は得意げに笑みを浮かべた。

(文・写真 山田静)

(更新日:2007年11月22日)

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