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日本、カナダ、イタリアの合作映画で、昨年10月の東京国際映画祭のクロージング作品でもあった「シルク」。大ベストセラーとなったアレッサンドロ・バリッコの叙事詩的小説である「絹」を、フランソワ・ジラール監督が壮大なスケールの映画に作りあげた。
公開にあたり、幕末日本での絹の密売商・原十兵衛を演じた役所広司に、「シルク」の魅力や、国際舞台へ挑戦する気持ちなどを聞いた。

日本の風景を本当に美しく撮っている、と感じました。自分の登場する日本の村については、ジラール監督がリアリティーを台本の段階から気にしていて、お互い色々と話し合いながら作っていきました。作品を見て違和感は全くなく、きれいな日本を描いてくれたと感心しました。
これだけ壮大な、そして時間がゆっくりと流れる話なのに、約2時間にまとめられて見やすい作品に仕上がりました。欲を言えば、3時間でもいいからもっと長い映画のバージョンも見たい、と思いました。
この作品は物語(ストーリー)だけで観客を惹きつけていくのではなく、映像を見て感じてもらいたい作品です。台本を読む前に原作を読んだのですが、映画にしたい、というジラール監督の気持ちが本当に良く分かりました。非常に映像的で、音楽的な原作でしたね。たしかに、日本でのみ制作しようとしても、なかなか企画が通らないかもしれませんね。
そうかもしれませんね。若者が歳を取っていくまでの話ですから、それこそ団塊世代の人たちが見ると、自分の青春を振り返るきっかけになるかもしれませんね。
随所に坂本さんの音楽がかかっていて効果的ですね。ジラール監督も音楽好きで、ピアノも上手です。彼の作品には音楽的な映画が多かったですし、今回も音楽的な映画に仕上がったような気がします。

海外作品はピアノ映画やバイオリンの映画など、音楽にまつわる作品を上手に作り上げます。「シルク」は、坂本さんにとっては「旅」の映画だということで、「心の旅」というテーマで作曲に臨まれたそうです。
アレハンドロ監督は、昔DJをしていたくらい音楽が好きで、音楽に関してこだわりを持っています。同様に、ジラール監督も音楽に関してすごく自分の好みを持った人です。でも、アレハンドロ監督はメキシコ人、ジラール監督はカナダ人、しかもフランス語圏のケベック州出身の人。それぞれの血というか、空気を強く感じます。二人の個性が「バベル」と「シルク」にすごく出ています。
演出の仕方も違いました。ジラール監督は、ゆったりかつ淡々と演出していきますが、アレハンドロ監督は、リハーサルの時から自分でカメラを持って、すごくエネルギッシュ。感情的に起伏がある点も違いました。

基本的には、日本映画で一生懸命やって、それをいろいろな国の人たちに楽しんでもらいたい思っています。日本映画で頑張っていきたいという思いがベースにあります。
ただ「シルク」や「バベル」のように、日本ではなかなか実現しそうにない不思議なテースト、切り口の作品は、俳優としてとても魅力を感じるので、積極的にチャレンジしてみたいと思います。
海外作品に出るというのは、苦労する面と、時間的に余裕があって豊かな時間を持てる面があります。海外作品は、クランクアップが近づいても時間をかけてじっくり考えて作ります。作りあげるためには、皆があきらめずにより良い作品を作っていこう、という強い意識がうかがえます。
海外の作品も引き続き挑戦していこうと思っていますし、今までやったことのないような仕事でも、恐れずにチャレンジしていきたいと思います。
年齢的になくなってしまう部分はありますが、経験などを通じて豊かになってきている部分もあります。それはちゃんと利用していかないともったいないですよね。
「シルク」
1860年代のフランス。蚕の疫病発生により、主人公エルベ(マイケル・ピット)は美しい妻エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)をフランスに残し、世界で最も美しい絹糸を吐く蚕の卵を求めて、海を渡り、砂漠を越え、世界の果て「日本」に向けて旅に出る。日本は幕末。蚕産業者の原十兵衛(役所広司)は、絹のように光る白い肌の少女(芦名星)を連れていた。帰国後もその少女のイメージが頭を離れないエルベ。在仏日本人マダム・ブランシュ(中谷美紀)の協力により、生死の危険も顧みず、日本への旅を重ねていくが……。
(文:どらく編集部 三橋有斗)
(2008年1月21日)
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