納棺師という職業を通じて、葬儀に集まる多彩な人々の心の動きや生きることの大切さを、ユーモアを交えて表した映画「おくりびと」が、9月13日から全国松竹系で公開される。本作の完成披露試写会と記者会見が6月11日、東京都内で開かれ、滝田洋二郎監督、脚本の小山薫堂、主人公・小林大悟役の本木雅弘、大悟の妻・美香役の広末涼子、大悟を納棺師の道に誘い込んだベテラン納棺師・佐々木生栄役の山崎努が登場。納棺師のイメージや撮影中のエピソードなどを語った。

本作は、交響楽団の突然の解散により地元・山形に戻ったチェロ奏者の大悟が、ひょんなことから遺体と接する納棺師になり、日々戸惑いながらも生きることや愛することの大事さに気づいていく物語。
納棺師というあまり聞き慣れない職業を題材にして、滝田監督は「納棺のことはあまり知らなかったのですが、いろんな体験取材をしたり、シナリオを練り上げたりしているうちに、納棺のすばらしさに感動しました」と振り返った。本木は「納棺の世界に深く足を踏み入れたけれど、まだまだ興味が尽きません。皆さんにもこの世界を知っていただきたい」と話した。


一方、生と死のとらえ方が変わった、という感想も多く、広末は「身近な人の死に立ち会ったことはまだ多くないけれど、最期というものを、どう感じていくべきなのかを考えさせられました」。山崎は「人が生まれてくる時に手助けをしてくれる看護師さん、それから一生を終えて骨になる時に手助けをしてくれる葬祭業は、セットになっている職業。死んでいくのも、生まれてくることと同じように尊いものだと感じました」と語った。
撮影前に本木は、納棺の現場に立ち会うなどして、納棺の訓練を積んだという。「話は非常にデリケートな中身なので、小山さんとともに納棺師の方々と話をしましたし、納棺の作法も現役の納棺師の方々に教わりました」。若い納棺師、なかでも女性が多かったのが、新鮮な驚きの一つだったという。また、本木はチェロの練習も重ねたといい、広末は「撮影中は毎晩2階からチェロの音が聞こえてきました。本木さんの熱意と勤勉さに圧倒されました」と振り返った。


会見では、山崎が「彼(本木)は納棺は完全にやりましたよ。ほかの映画だったら途中ズルするだろうけど。俳優がダメでも納棺師にはなれる」と本木を持ち上げる一方、本木が「結局は山崎さんがいいところを持っていくんですよ」とおどける場面も。本木は「山崎さんは、納棺の練習をほとんどしなかったけれど、撮影の取り組み方や心の表現の仕方に、すごく勉強させられました」と、大先輩の演技に脱帽の様子だった。

「おくりびと」
求人広告を手にNKエージェントを訪れた主人公・大悟は、社長の佐々木から思いもよらない業務内容を告げられる。それは「納棺」、遺体を棺に納める仕事だった。戸惑いながらも、妻の美には冠婚葬祭関係=結婚式場の仕事と偽り、納棺師の見習いとして働き出す大悟。美人だと思ったらニューハーフだった青年、幼い娘を残して亡くなった母親、たくさんのキスマークで送り出される大往生のおじいちゃん……。そこには、さまざまな境遇のお別れが待っていた。
9月13日(土)より全国ロードショー
(文:どらく編集部 勝井善明)
(2008年06月18日)
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