
スペイン舞踊の伝統と革新を追求する熱く華麗な舞台で世界的に人気の高い「スペイン国立バレエ団」が、今年の秋、待望の来日を果たす。
1978年に設立されたこのバレエ団の初代芸術監督は、フラメンコを舞台芸術の高みにまで押し上げた存在として名高いカリスマ、アントニオ・ガデス。エリート・ダンサーたちが集い、切磋琢磨(せっさたくま)してレベルの高い舞台を繰り広げてきており、世界的人気を博しているホアキン・コルテスをはじめ、バレエ団が生んだスターは数多い。日本でもたびたび公演を行っているアイーダ・ゴメスも、プリンシパル・ダンサーとして活躍した後、芸術監督を務めていたことがある。


今回の来日公演では、世界を熱く席巻した名作に、新たな意気込みがうかがえる日本初演作を加えた、バレエ団の現在の地平を示すフラメンコ中心のプログラムが組まれている。モーリス・ラヴェルのあまりに有名な舞踊曲にのって繰り広げられる「ボレロ」は、バレエ団が誇る代表作。一糸乱れぬ群舞の踊り、手拍子とサパテアードがめくるめく高揚感を誘う振り付けは、楽曲のもつスペイン・ムードをさらに引き出し、観(み)る者に深い陶酔感を与えずにはおかない。日本公演に初めて登場する「ゴルペス・ダ・ラ・ヴィダ」は、老いにさしかかった男と若者の出会いと別れを通じて人生を問う意欲作。このほか、長く引きずった裳裾(もすそ)のフリルが美しいコスチュームやパンツルックで女性ダンサーがスタイリッシュに決めて踊る「ラ・レジェンダ」、フラメンコの代表的な形式が一望できる「グリート」と、見応えのある演目が並んでいる。


振り付け、装置、音楽、衣装、照明と、細部にまでこだわり尽くした熱い舞台は何より、スペインという国に生きる人々のエネルギッシュな生命力とセクシーな力強さを伝えてやまない。未来の世界的スターを若手ダンサーの中に探すも一興。日本でもファンの多いスペイン舞踊の奥深い魅力にふれる絶好の機会だ。
藤本真由(フリーライター)

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