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エンタメスペシャル

日本初上演 トニー賞5部門受賞 タイタニック the musical

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全員のテンションを等しく高めて、最高の舞台を作り上げたい 俳優・宝田明さん

1997年、ブロードウェイでトニー賞の5部門を受賞、ロングランを記録したミュージカル「タイタニック」が、来年1月に日本プレミアの幕を開ける。

「伝説の悲劇」として幾度も映画や小説の題材となってきたタイタニック号の沈没事件は、この舞台の中でどう描かれるのか。

今回は、キーパーソンであるタイタニック号の船長、キャプテン・スミスを演じる宝田明さんにお話を伺った。

史実を綿密に編み上げた歌劇「タイタニック」

写真
宝田明さん

タイタニック号が沈んだのは1912年のことですが……悲しいかな、今もこの種の事件は後を絶ちません。だからこそこの事件は、自戒の念を込めて人々の間で語られ続けるのではないでしょうか。

悲劇の経緯は、おそらく皆さんもご存じでしょう。当時、海運国として名を馳せていたイギリスの夢でもあった豪華客船タイタニック号。最高の船であるがゆえに処女航海でのスピードを求められ、本来なら7日間の航程を6日にという使命が課せられた。そして港を離れて3日目の夜、目の前に現れた巨大な氷山を避けきれず衝突し、やがて沈没してしまう。

そこには様々な要因と、船会社などの人々の思惑も絡んでいたはずです。しかし最終的に、最高責任者である船長がスピードを出すことを頑として拒めば、事故は避けられたかもしれない。通常の速さであれば、氷山にぶつかる角度も1、2度は違っていたかもしれず、船が沈むこともなかった……。

僕の演じるスミス船長は、そうした責任を負う人物です。彼自身の輝かしいキャリアの最後を飾るはずだったタイタニック号の処女航海において、すべての判断を狂わせ、人生最大の過ちを犯してしまう。そこに人間の陥りやすい罠の存在と、その怖さを感じますね。そして今も昔も、スピードや営利を追求する姿の陰には、こういう悲劇が隠れているのだ、とも。

今回の舞台はこうした史実を一つひとつ拾い上げ、タイタニックに乗り合わせた様々な人々のエピソードを描き出していきます。

芝居は足し算ではなく掛け算の世界

また、全体の5分の4を歌で構成する歌劇でもあり、出演者全員で歌い上げるオープニングを始めとした素晴らしいナンバーがそろっています。残念ながら、キャプテン・スミスの心情を吐露するようなソロはないのですが、どの曲も歌詞に深い内容がある。英語から日本語への置き換えは難しい作業であり、僕らも苦労のしどころですが、その意味をお客様にきちんと伝えられるようけいこを充実させていきたいと思っていますね。

今は日本語の訳詞の出来上がりを待っている段階で、僕自身はまだこの作品に100%入り込んでいるとは言えません。しかしこれから先は、相当のものを出していかねばならないと覚悟しています。

舞台の準備期間というのは、鉄の焼入れ作業にも似ているんですよ。火に入れて叩き、水に入れて冷やしながら鉄の強度を高めていくように、僕らもけいこ場で何度も失敗し、恥をかく。そしてその中である時、確かな手応えをつかんで、ググッと力を出せるようになる。その時に出る熱量ときたら、自分でもびっくりするほどです。

人間だから得手不得手はありますが、そのすべてをけいこ場でさらして余計なものをそぎ落とす作業は役者には欠かせないものです。もちろんその汗はお客様には決してお見せしませんし、僕らは150%の力を出して初めて舞台では普通に見えるものだということを、決して忘れてはいけない。

そして芝居というのは足し算や引き算ではなく、掛け算だと僕は思っています。人と人の相乗効果で、その熱量が2倍にも3倍にも膨れ上がることがあるのだと。それが芝居の面白さですし、今回の舞台はそうしたポテンシャルを持った様々な人が集まっている。すばらしい成果を期待していただきたいですね。

PROFILE

宝田明(たからだ・あきら)
1934年生まれ。54年、東宝第6期生として『かくて自由の鐘が鳴る』でデビュー。『ゴジラ』『青い山脈』『放浪記』『ミンボーの女』など200本を超える映画に出演。また64年の「アニーよ銃をとれ」を始め、「サウンド・オブ・ミュージック」「マイフェアレディ」「南太平洋」など数多くのミュージカルに主演。日本のミュージカル草創期を支え、主演俳優として不動の地位を築く。
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