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ひと クローズアップ -各界で活躍する人々の旬な取り組みをインタビューを交えてお届けします-

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「なごり雪」「22才の別れ」など、今なお歌い継がれる名曲を生み出してきた伊勢正三さんが、全編「風」時代の楽曲によるアコースティック・ライブに、2年前から精力的に取り組んでいる。今、風と向き合うことが自身にとっての挑戦になっているという。その胸中には風の相棒・大久保一久さんへの思いもあった。

写真
伊勢正三さん

こんな時こそ、歌の力を信じて

「こういうことが起きると、何のために自分が音楽をやっているのかということを、ものすごく考えさせられますね」

取材数日前に起きた、東日本大震災のことだ。

「苦難に直面した人間が、どうしようもないやるせなさ、つらさを乗り越えるために誕生したのが音楽だし、人の気持ちを前へと向かわせるのが音楽の役割。様々な不安が蔓延(まんえん)している今だからこそ、僕らミュージシャンはもともと持っている純粋なエネルギーを世の中に還元していくべきだと思う。僕も本当にいい歌を歌いたいし、いい演奏がしたい。すごくそういう気持ちになっています」

いい音楽が流れていれば、心は安らぐもの。それがほんの一瞬だとしても。「歌の力を信じてより精進していかなければと、今回の震災で思いました」と伊勢正三さんは言う。

そんな伊勢さんが2009年4月から取り組んでいるのが「風」ひとり旅コンサート。すべて風時代のナンバーだけで構成されたライブである。

1971年、高校時代の合唱部の先輩でもある南こうせつさんに誘われ、フォークグループ「かぐや姫」に参加し、「神田川」の大ヒットによって一世を風靡(ふうび)した。そしてかぐや姫解散後の75年、大久保一久さんと風を結成。かぐや姫時代から、洗練されたメロディーと情感あふれる詩の世界で人々を魅了していたが、風では「かぐや姫の伊勢正三」とは違った、新たな音楽の世界を展開。それによってさらに熱烈なファンを増やしていった。事実、「ささやかなこの人生」「あの唄はもう唄わないのですか」「海風」「君と歩いた青春」「海岸通」といった名曲の数々をはじめ、79年に解散するまでに発表したアルバム6枚、シングル6枚の楽曲は、時を経た今も多くの人々の心にしっかり刻まれている。

「風」ひとり旅コンサートは2007年、風の再結成に近いプロジェクトが動き始めたことがきっかけだった。翌年には、東名阪で再結成ライブを実施することが決まり、リハーサルも順調に進んでいた。ところが、その矢先の08年4月1日、相棒の大久保さんが倒れてしまった。命にかかわる病だった。

「最悪のエープリルフールでした。緊急を要する大手術で翌朝、何とか一命は取り留めてくれたものの、ライブ活動を行うことは難しくなりました」

そして1年後、伊勢さんは一人で「風の旅」を始めることにした。

「大久保君の回復を願いつつ、彼が奇跡的に助かった4月2日から、ポツリポツリと全国各地をまわることにしました。なぜか和歌山県の潮岬から始めたくてそうしたのですが、ちょうど丸2年がたち、20カ所ほど行きました」

ギターを弾きながら歌うというごくシンプルなスタイルでのライブを繰り返す中で、風こそがまさに自身の原点だと再確認している。

プロフィール

1951年大分県生まれ。71年南こうせつさん、山田パンダさんとともに「かぐや姫」を結成。「なごり雪」「22才の別れ」などの名曲を生み出す。解散後、75年大久保一久さんと「風」を結成。「ささやかなこの人生」「海風」などがヒット。80年よりソロへ転向。85年から表立った活動を休止するが、93年に復活。現在はソロライブの他、太田裕美さん、元ガロの大野真澄さんとのユニット「なごみーず」など、様々なアーティストとのコラボ活動にも精力的に取り組んでいる。

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