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ひとインタビュー科学技術が広めた無限の興味 人間は特別ではなかった 第一回 毛利 衛さん

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英知の交差と下弦の月

科学技術のすばらしさを伝え続けている日本科学未来館の館長、毛利衛さん。6年前、52歳で宇宙に再挑戦した現役の宇宙飛行士がいま、もっとも気になるのが、空ではなくて、「海」だという。
(編集長・小野高道)

――海って意外ですね

日本の有人潜水調査船「しんかい6500」に3年前、乗りこみました。

何万年前もの地球の姿がそこにありますが、6500メートルの海底というのは、たんなる歴史の回顧ではなく、実は地球環境の未来に直接つながっている。地球に住む人間、とくに日本人の将来にさまざまな影響を与えるのは、海なんです。

――日本人にですか

そう。アメリカの社会を駆動してきたモチベーションは新大陸とフロンティア精神にあった。島国の日本はその文化や国民性を考えると、新しい挑戦の源は海にあるんですね。海を乗り越えてやってきた知恵や技術が、日本の活性化を促してきた。

いま、その海から、科学技術や地球環境を考えていきたい。地球の4分の3は海。陸地ではないんです。

――科学の進歩は著しいですね

科学というのは、自然や人間を理解するために生まれました。しかし、21世紀のいま、ヒトゲノムが研究し解明され、人間の遺伝情報が詰まった4つの塩基の組み合わせで、いくらでも人間という生物が変わることが分かった。神様がつくり、人間は特別だと思って進歩させてきた科学が、人間は他の生命と変わらない、ということを証明することになったんです。

――ところで、宇宙に興味をもつきっかけは皆既日食だとか

いままでの常識が覆されましたね。1963年、高校1年のとき。故郷の北海道で兄と空を見上げました。太陽がなくなるということはどういうことか。生命としてすごい不安を覚えました。そして太陽の恩恵を改めて感じました。

――毛利青年はそれからというもの、宇宙に引き寄せられていく

公務員試験の2次試験会場を抜け出して、月面着陸するアポロ11号の中継テレビを見たくらいです。衝撃でした。

結局、あれが大きなチャンスだったと思います。自分にとって、瞬間的にどっちが大事なんだ、と。公務員試験はいつでもある。個人のことより人類史上初めての月着陸のほうがずっと価値があるんじゃないか、と判断したんです。

(写真)毛利衛さんプロフィール

1948年、北海道余市町生まれ。北大助教授をへて、85年宇宙開発事業団の宇宙飛行士に。92年にNASAスペースシャトル「エンデバー号」に科学者として搭乗し、宇宙実験を遂行した。2000年には「エンデバー号」にNASA宇宙飛行士として搭乗。先端の科学技術とひと・社会をつなぐ活動の場として、東京・お台場に開設された日本科学未来館の館長に同年10月、就任。

お知らせ
日本科学未来館で館長の毛利さんを補佐する「副館長」を公募中
 

開館6年目を迎える日本科学未来館では、館長の毛利衛さんを補佐する「副館長」を公募中だ。応募は7月24日まで。

 

同館としては初めての試みで、科学技術への理解とともに、卓越した経営能力を併せもつ優れた人材を、広く民間から招きたいと考えている。着任は今年10月2日(予定)。

 

毛利さんは「より有効で効率的な未来館の運営を、わたしたちと一緒に考えていただきたい」と話している。

詳しくは日本科学未来館のホームページへ。

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