個人の予想を超えたところにあるかもしれません。トップに立つビジネスマン、そしてトップアスリート、みんなそういうぎりぎりの判断を求められます。いろいろな決断が人間を突き動かすわけです。
挑戦することに、年齢は関係ないですよ。90歳でカンバスに向かう老芸術家だっている。精神的な年齢に、老いも若いもないんです。
92年、44歳で宇宙に飛び出し、その後、およそ8年間のブランクをへて再び宇宙へ再挑戦しました。52歳で飛んだ2回目は、11日間宇宙に滞在しました。多くの人から、何かにチャレンジするときに気持ちが続かないと聞きますが、それは、心の底から、おもしろがらないからじゃないでしょうか。
そうですね。宇宙飛行士は挑戦することに生きがいをもっています。3回くらい飛ぶと、新しく挑戦することが少なくなるからかもしれませんね。
でも、興味自体は尽きません。体力は落ちていきますが、わたしも体だけは最低限つくっていますよ。マーキュリー計画で地球を周ったジョン・グレンは、77歳で宇宙に飛んだ。グレンのようになる可能性だってまだ、あるかもしれないからね。
NASAの宇宙飛行士って、エリートなんですが、公務員だから給料が安いんですよ。でも、本当にこの仕事が好きだからやっている。同じ飛行士として、彼らのことばは大いに励みになりました。
未来館のコンセプトは全部わたしが提案しました。中途半端な活動はしたくなかった。子供のときの夢、宇宙へいくことは実現できた。科学者としても達成感がある。次は何をすべきか、と考えたときに、要請がありました。
国会議員にならないか、などいろいろお話しはありましたが、自分の能力を最大限発揮し、社会に恩返しができる分野はないか、と考えました。経験を生かして、若い人を育てていきたかった。
中学2年生のとき、ソ連のガガーリンがボストーク1号で世界初の有人飛行に成功し、わくわくしました。そういう夢をもつ若者を自分が手伝ってあげることができたら、と思いました。
多くの人は、会社組織の中にいたら、次は部長だ役員だと私欲が生まれてしまう。でも、わたしは自分が何をすべきか見えたんです。それから5年がたちました。
飛行士はだいたい、「地球が見たい」って答えるそうです。でもわたしは太陽。核融合の研究などをしていたからですが、実際に見たら、漆黒の闇に浮かぶ、エネルギーの塊ということだけを実感しました。そんなことがあって、2回目に宇宙に行って引き寄せられたのが月でした。
月は太陽に照らされて光る。他者があって自分があるという、その深みに惹かれたのです。宇宙船から見る下弦の月。あれは一生忘れません。ひととつながってこそ、自分がある。人生もそうありたいですね。

なんといっても家内(彰子さん)ですね。付き合いはじめてそんなに時間がかからず、ぱっと結婚できました。ほんとうによかった。
社会で活躍している人は皆そうですね。NASAの仲間も研究者も、芸術家や政治家、企業家。スケートの荒川静香さんに大リーグのイチローといったトップアスリート。ほかの人や物事に流されず、自分をもっている人ですね。そのもっているものに、つねにこだわる。それじゃないと、良い仕事はできません。
雪の結晶の研究で知られる中谷宇吉郎博士の本で科学とは何かを学びました。ほかには宮本武蔵の「五輪書」。小さいころでいえばイソップ童話かな。母にクリスマスに買ってもらって読みました。なぜかグリム童話よりイソップでしたよ。
※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。