ネタの作り方を通して感じることはありますね。昔は自分から投げかけることに必死でした。だからテンポも早かった。それが今は違う。セリフを作りこまず、外枠だけ人物を作り上げておき、舞台に立った瞬間その場でお客さんの雰囲気、空気感をつかんで決めていくやり方になっています。
怖いですが、そうすると同じネタをやっても全然違う空気がその都度生まれてくる。一人芝居なので、あらかじめシミュレーションはするのですが、そこに頼り過ぎると芝居がつまらなくなる。僕の芝居は予定調和が最大の敵。
だから、ネタはこんな感じなんだけれど、今日はこんな感じがいいのかなというのが瞬間に芽生えて、それをやるべきかどうかというせめぎ合いはいつもあるのですが、ついその場で反応した生身の自分を出してしまう。その方が面白いですから。
こんなもんだろうと枷(かせ)を自分であてはめたところが以前はあったと思うんです。自分の限界は自分が一番よく知ってるぞ、みたいなね。でも、いろんな人と出会って支えられて、25年も続けていく中で、何が起こるかわからないという可能性の中でいき続けること自体が僕の作品なんだ、と。50歳を過ぎてから、急カーブでますますその思いが強くなりました。
いや、全然自分らしく生きてないです。自分らしくというのは最大のプレッシャーで、それから解き放たれたくて、他人らしく他人らしくといろんな人を演じてきたわけで。ただ、今までにない芝居を試しているという思いはある。これからも今までにない、無謀なことに挑戦していきたいと思っています。

今のマンションですね、きっと。都営住宅を出なければならなくなって、必要に迫られて購入しました。
渋谷「ジァン・ジァン」のオーナー。芝居は「観(み)る人」「演じる人」がいれば、それでいいのだ、ということをこの人に教えてもらいました。こうやって名前を出すこと自体、くだらんという人です。
「百年の孤独」(G・ガルシア・マルケス著)。若い頃読んだ作品です。現実と空想が混在していて、かといって絵空事ではない、生々しいリアリティーがあって。圧倒的な射程距離の長さと強さをひしひしと指し示された一冊。こういう質問があると、なぜかしら必ず思い出す作品です。
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