透明感あふれる歌声と歌唱力で、世代を超えて人を魅了し続ける森山良子さん。第一線で活躍する彼女の原動力となっているのは、「つねに自然体で」という美意識。それだけはデビュー以来、変わらないという。
(文・井上理江/撮影・田中史彦)
あっという間でした。40年も歌ってきたんだなあ、幸せだったなあ、という感慨でいっぱいです。
いいえ、そうでもないです。自分の音楽が時代に取り残された気がして、焦った時期もありました。結婚、出産で休業していた20代前半のころは、本気でやめたいと思ったことも。
ただそのとき、周りが、また一緒にやろうよ、と声をかけてくれた。再びステージに立った瞬間、ああ、音楽があって初めて私は生かされているのだ、と気づいたんです。それ以降、どんなことがあっても歌をやめないと決めました。
歳を重ねると、視野や可能性、自分のやりたいことが狭まっていきがちですが、私は逆。むしろ、歌を通して経験してきたことが、やっと大きな勇気づけとなって私を後押ししてくれています。
どちらかといえば、引っ込み思案で、人と出会うことも面倒くさいと感じていた。自分の世界を頑に守り、好きなジャンル以外の歌に抵抗感を抱いていたりね。でも、結局人との出会いから生まれてくるものが楽しくて、面白い。さまざまな経験を通してそれに気づき、今は、まず何でも経験しよう!と、かなり前向き。歳を重ねるごとに、もっと、もっと、と好奇心旺盛になっている気がします。
2年前に出したジャズアルバム。父がジャズトランペッターだったせいか、ジャズシンガーになるのが夢でした。そんな長年の念願がかなったのも、ジャズピアニスト島健さんとの再会があったからなんです。
お寿司屋さんで偶然お会いして、私、ジャズがやりたいんだ!ってお話したら、とても乗ってくださって。それがきっかけで新しいジャズミュージシャンたちとも出会い、触発され、エッセンスをもらいながら、自分でも予想だにしなかった、今までとはひと味違う、ジャズシンガーとしての新しい森山良子を経験することができたんです。

1948年、東京生まれ。日本ジャズ界のパイオニア森山久氏の長女。67年、デビュー曲「この広い野原いっぱい」が大ヒット。以後、「禁じられた恋」「涙そうそう」「さとうきび畑」「あなたが好きで」などヒット曲多数。04年5月にジャズアルバム「The Jazz Singer」を引っ提げ、米国の名門ライブハウスをまわる。05年、愛・地球博の開会式で公式ソング「マザーアース」(作詞:御徒町凧/作曲:森山直太朗)を披露。ことしデビュー40周年を迎えた。
「Ryoko Moriyama 40th Anniversary Special Concert 森山良子 WITH 矢野顕子」
「森山良子コンサートツアー 2006〜2007」
お問い合わせ:森山良子ファンクラブ
電話03-3350-6127
※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Firefox1.5以上、Macintosh Safari 1.3以上、Firefox1.5以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。